経団連タイムス No.3063 (2011年11月10日)

日越間の協力案件の着実な進展を確認

−米倉会長とズン・ベトナム首相が懇談


ズン首相(左)と握手する米倉会長

経団連は10月31日、東京・大手町の経団連会館で、ベトナムのグエン・タン・ズン首相一行を迎え、昼食懇談会を開催した。経団連からは、米倉弘昌会長、渡文明評議員会議長、副会長、副議長ら12名が出席し、原子力発電所、レアアース開発、航空機、電子通関システム、地球観測衛星など、幅広い分野で進展している日越間の協力案件について意見交換した。ズン首相の訪日は今年8月のベトナム新政権発足後初めてであり、随行のダム官房長官、ホアン商工大臣、ヴィン計画投資大臣、フエ財政大臣、タイン交通運輸大臣らが同席した。

冒頭、米倉会長は、東日本大震災でのベトナムの支援に謝意を表するとともに、わが国経済界が引き続き、ベトナムの2020年までの工業化・近代化計画を支援する考えを述べた。また、インフラ整備等での協力強化のために、二国間オフセットメカニズム(注)や民間提案型のPPP(官民パートナーシップ)スキームの導入、ならびに日越共同イニシアティブの第4フェーズの行動計画の着実な実施が重要であると指摘した。

これに対しズン首相はまず、わが国経済界のベトナムの経済成長に対するこれまでの貢献を評価する旨を述べた。また、ハイテク産業、製造業の裾野産業で強みを持つ日本企業と、安定した政治・社会と高い経済成長を実現し、約9千万人の消費市場、若い労働力、豊富な天然資源に加え近隣に大市場を有するベトナムが結び付けば、両国の相互利益となると述べた。また、ベトナムは、今後10年間でインフラ整備等の公共事業に700億〜800億ドルを要するので、日本の官民連携による協力を得たいと述べた。さらに、日越共同イニシアティブについて、「第4フェーズでベトナムの投資環境整備が著しく改善されることを期待している」と述べた。

席上、経団連側から、各社の日越協力案件を紹介し、ベトナム政府の支援を求めた。これに対し、ズン首相は、各案件が着実に進展していることを歓迎するとともに、「ベトナムは日本の長期的かつ持続可能な経済パートナーであり、投資環境の改善に努力したい」と述べた。特に原子力発電所建設や製造業分野での投資について、「ベトナム政府は日本の高い技術や責任感を信頼している」など、日本に対する信頼を表明した。

(注)二国間の合意による温室効果ガス排出枠移転の枠組み。先進国が開発した低炭素型の技術や機器を途上国に導入し、その結果削減できた一定の排出量を先進国での削減分として扱うもの
【国際協力本部】
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