船内で講演する西田名誉団長 |
「強い組織・熱い職場をつくる」を総合テーマに横浜を出港した第47回日本経団連洋上研修団の一行が10月14日、8日間の日程を終え帰国した。今回は全国の企業・団体から管理・監督者138名が参加。船内研修では参加者一人ひとりが熱心な討議を重ね、行動計画を策定するとともに、寄港地台湾では企業や団体を訪問し、活気ある台湾の実情を視察した。
船内で参加者は4つの班に分かれ、さらに5〜7人のグループで研修を実施。各班には、教育・研修に通じた企業のコーディネーターが付き、討議方法などを指導した。
討議は、各自が持ち寄った職場で直面している課題をKJ法により集約・整理することからスタート。抽象度の高い課題を具体的なテーマに分解・構造化し、課題を放置した場合のリスクや解決した場合のメリットなどを検討したうえで討議テーマを決定した。
次に、決定したテーマについて、なぜその問題が起きているのかを内外の要因から深掘りし、あらためてテーマの主旨を明確にすることで各自の問題意識をまとめ、班内発表会に臨んだ。発表会では各グループが、テーマ決定に至る過程を相互に評価し、研修前半のフィードバックに結び付けた。
熱心に討議するメンバー |
後半はまず、討議テーマに関して、職場の「あるべき姿」と「いまの姿」について分析を行い、理想と現実のギャップを明らかにし、克服すべき課題を探った。さらに今後、管理・監督者としてどう行動すべきか、アクションプランを短期・中長期に分けて策定。再度、班内発表会を開き、投票によって研修報告会で発表する代表グループを決定した。
班代表に選ばれた4グループの討議テーマは、「上司と部下が信頼関係を作る」「部下のモチベーションを向上させるには」「技術を伝承するためには」「仕事のやりがいを感じる環境づくり」。そのほか、職場の雰囲気の改善、若手社員の育成・技術伝承、人材育成などがテーマとして取り上げられた。
課題研修にさまざまな示唆と助言を与えるのが、アドバイザーや講師による講義。浜田正幸・多摩大学准教授、河合太介・早稲田大学大学院非常勤講師、野田稔・明治大学大学院教授、柿内幸夫・改善コンサルタンツ常務らによる実習を交えた講義のほか、研修前半に乗船した西田厚聰名誉団長(経団連副会長、東芝会長)が「経営と判断」と題した特別講演を行った。
寄港地台湾では、新竹科学工業園区、士林電機、台北市日本工商会(特別講演)とフランツ(陶磁器メーカー)の4コースに分かれて訪問。概要説明や工場・現場見学、質疑応答などを通じて、躍進を続ける台湾企業の実情を視察した。
研修最終日には船内で修了式を行い、その後の班別総括会で全員が研修を振り返った。「異業種の方々と知り合いになれて、熱く語り合うことができた」「早く職場に戻ってここで学んだことを活かしていきたい」――こうした振り返りとともに参加者は、企業の枠を超えた交流の継続を約束し合った。