経団連は10月20日、東京・大手町の経団連会館で、フランス国会科学技術選択評価委員会(OPECST)との懇談会を開催し、今後のエネルギー政策について意見交換を行った。
フランス国会科学技術選択評価委員会は、上院、下院各18人、合計36人の国会議員で構成されている。同委員会は、政府から全く独立した立法府の立場から、科学技術活動や関連政策について必要な情報収集、調査、評価を行っている。それらを国会に報告することで、フランスにおける政策決定の一助となっている。
今回は、同委員会の活動の一環として、クリスチャン・バタイユ議員(下院)やカトリーヌ・プロカシア議員(上院)らが、日本のエネルギー政策を調査するため来日した。バタイユ議員の発言概要は次のとおり。
われわれは、フランスにおける今後の原子力政策を検討するにあたり、現在、日本とドイツのエネルギー事情について、調査・視察を行っている。
日本においては、来年の夏までにすべての原子力発電が停止する可能性があり、非常に重要な事態が起こっていると思う。日本の皆さんが、できるだけ早期に、震災後のエネルギー問題について解決策を見いだすことを祈っている。
原子力発電は、一度事故が起こると、世界に大きな影響を与える。そのため、世界の原子力産業界が連帯感を持って、安全性の高い原子力発電の開発に取り組む必要がある。
原子力発電を持つことで、国のエネルギー自給率が上がるという側面を忘れてはならない。これは資源小国である日本とフランスにとって、重要な視点である。
われわれはこれまで、日本の産業界、科学・研究開発部門の方々との交流を続けてきた。日仏両国はそれぞれ補完的な役割を担っているので、今後もこうした交流を継続していきたい。
経団連からは、エネルギー政策に関する日本の経済界の考え方を説明した。今夏の電力需給対策については、操業シフトや自家発電の稼働による燃料費の増加等、国民・企業にとって大きな負担となったことを踏まえ、電力不足が今後も続く状況では、企業は日本国内で操業を続けることができないとの声が多く上がっていることを紹介した。