経団連タイムス No.3062 (2011年11月3日)

今後のエネルギー政策めぐる展望や日仏協力の可能性などで意見を交換

−仏アレバ幹部と


経団連は、世界有数の原子力プラントメーカーであるフランスのアレバ社のドミニク・モックリー上席執行副社長が来日したのを受けて10月17日、東京・大手町の経団連会館で会合を開いた。
モックリー副社長は、今年7月に米倉弘昌会長を団長とする経団連訪欧ミッションが同社を訪れた際、先方の最高責任者として面会し、両国のエネルギー政策や原子力分野における日仏協力の推進などについて懇談した経緯があることから、対話継続の一環として、今般の会合が持たれた。
会合には、西田厚聰副会長らが出席し、震災を踏まえた今後のエネルギー政策をめぐる展望などについて、建設的な意見交換を行った。
懇談要旨は次のとおり。

■ エネルギー政策をめぐる仏国内外の動向

冒頭、モックリー副社長は来年のフランス大統領選挙に向けた国内事情に言及。「与党・国民運動連合のニコラ・サルコジ候補(現大統領)、野党・社会党から候補となることが確定したフランソワ・オランド氏とも、原子力を推進する立場。長期的に再生可能エネルギーを拡大する方向性はあるが、短中期的に原子力に代替させることは現実的ではない」と説明した。

また、福島第一原子力発電所の事故を受けた各国の原子力に対する立場の変化を分析、「原子力を放棄する立場を明確に表明したドイツは別として、国際的に見れば、原発支持率は依然として高水準を維持している」と指摘した。

■ 原発の安全基準づくり

意見交換では、経団連側から、「原発の安全性に焦点が当たっているが、100%絶対安全という科学的な基準はあり得ず、どのような水準を安全と設定し得るか」と問題提起。これに対し、モックリー副社長は、原子力に関しては、技術面での安全性に加えて、それを支えるための基準づくりが重要と指摘し、国際的に共通の安全基準を早期に設ける必要があるとの認識を示した。

■ 原子力に対する国民的理解の促進に向けて

また、モックリー副社長は、原発に否定的な国民世論について、「放射能の危険性などを、誰もが理解できる平易な言葉で噛み砕いて説明する努力が不可欠」とし、仏原子力潜水艦乗組員や放射能関連施設従業員に対して行われている放射線教育の事例を紹介。こうしたノウハウを日仏が共有して取り組んでいくことが重要であると述べた。

【環境本部】
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