シュワルツェンベルグ第一副首相(左) と小林共同委員長(7日、経団連会館) |
経団連の小林喜光ヨーロッパ地域委員会共同委員長は7日、東京・大手町の経団連会館で、日本政府の招聘により来日したチェコ共和国のカレル・シュワルツェンベルグ第一副首相兼外相ならびに経済代表団一行との昼食懇談会を開催した。シュワルツェンベルグ第一副首相の発言概要は次のとおり。
チェコは日本との経済関係を重視しており、すでに多くの日系企業がチェコで活動していることをうれしく思う。現在、チェコには261社の日系企業が進出、そのうち96社が製造業である。チェコは輸出主導型の経済成長を志向しており、チェコに製造拠点を設けている日本企業はEU市場への有力な輸出事業者となっている。自動車や家電分野の日本企業のなかには、2010年の輸出額で上位10傑に入るところもあるなど、チェコ経済の発展に大きく貢献している。
チェコ経済のさらなる強化に向けて、チェコ政府は先月、インフラ整備やイノベーション主導型の成長を柱とする国際競争戦略を策定した。これにより、2020年までに競争力において世界のトップ20カ国に入ることを目指している。
チェコには工業国としての長い歴史がある。特に19世紀末から製造している自動車について、昨年の生産台数は100万台を突破した。また、近年では欧州におけるパーソナル・コンピューターの一大製造拠点となっている。今後、二国間経済関係の一層の強化に向けて、日本からの投資が、ナノテクノロジー、バイオテクノロジー、情報技術サービス、精密工学、製薬、環境分野など、より潜在力の高い分野でも行われることを期待している。
チェコ政府は原子力エネルギーの導入に強くコミットしており、6基の原子炉によって総電力のおよそ3分の1を賄っている。現在、オーストリア国境近くのテメリン原子力発電所の原子炉建設に関する入札が行われており、日本企業の参加を歓迎している。
チェコは日EU経済統合協定(EIA)ができるだけ早期に締結されることを心から望んでいる。EU内には日本との協定締結に前向きではない国もあるが、この困難な時代にあって日EU関係の強化は非常に重要であり、EU外相会合などの機会をとらえて、日EU・EIAの重要性を主張していきたい。