産学官の連携の強化・推進を目的に、政府・関係機関と経団連が主催する「産学官連携推進会議」が22日、都内で開催され、産学官のトップ約1000人が出席した。同会合は今年度で10回を数える。
会議では、内閣総理大臣のメッセージを皮切りに、基調講演として古川元久科学技術政策担当大臣が、8月19日に閣議決定された「第4期科学技術基本計画」を紹介した。また、課題解決型の研究開発によるイノベーション創出の重要性に加えて、宇宙開発のようにチャンレンジ精神にあふれた夢のある研究開発の必要性も強調した。
続いて特別講演として、東芝の西田厚聰会長が「産学官連携による日本の再生」を、宇宙科学研究所の川口淳一郎教授が「『はやぶさ』が挑んだ人類初の往復の宇宙飛行、その7年間の歩み」をテーマに講演した。
さらに、特別報告として、東北大学の江刺正喜教授は、数々の異分野融合型の連携によるマイクロシステム開発の成果を紹介。続いて東京大学先端科学技術研究センターの児玉龍彦教授は、いかにスーパーコンピューターが近年の医薬品開発に不可欠な存在であるかを紹介した。
午後は「震災復興・再生を支える科学技術イノベーション」をテーマに、(1)グリーンイノベーション(2)災害からの安全性向上に役立つ科学技術――の2つのパネルディスカッションが並行して進められ、活発な討論が行われた。
大学、研究機関、企業等の産学官連携活動において、産学官連携の推進に多大な貢献をした事例を表彰する産学官連携功労者表彰では、内閣総理大臣賞をはじめ11種類の賞が19事例に付与された。その一つ、日本経済団体連合会会長賞は、NEDO(新エネルギー・産業技術総合開発機構)プロジェクト等での成果を活用した「不揮発メモリ(FeRAM)の事業化」へ顕著に貢献した東京工業大学の石原宏名誉教授、富士通研究所の有本由弘氏、富士通セミコンダクターの恵下隆氏が受賞した。近年普及が著しいICカードに採用されており、国内外に大きな新市場を創出したことが評価された。今後さらなる応用が期待される。