教育問題委員会で 説明するブルナー院長 |
経団連の教育問題委員会(川村隆委員長、石原邦夫共同委員長)は9日、東京・大手町の経団連会館で、米国ヴァージニア大学ダーデン経営大学院のブルナー院長の来日にあわせ同院長を招いて会合を開催し、経済のグローバル化に伴う経営教育の課題について説明を受けるとともに懇談した。
ブルナー院長はまず、「世界経済における競争は、各国間の文化・社会的違い、法律・制度面での違い、距離や時差などによる物理的な違い、所得格差や金融制度面での違いの4つの側面でまだ、ミルトン・フリードマン教授が提唱したフラットな世界とはなっておらず、グローバルな経営理論だけでは世界経済の複雑性を説明できない」と述べた。そのため、ビジネススクールにおける経営教育も、「個々の生徒のニーズや能力に焦点を当てたテーラーメードの内容にすることでグローバル経済の実態を反映させる必要があり、教室での講義に加え、オンライン学習、OJTなどを組み合わせて行う必要がある」と指摘した。その一例として、ダーデン経営大学院のグローバルMBAプログラムでは、米国での講義に加え、提携の海外のビジネススクールの協力を得て、中国、インド、ブラジル、欧州における講義やオンライン学習を組み合わせて実施していることを紹介した。
意見交換では、経団連側から、近年日本では、若者の内向き志向に加え、大学生の間で、海外留学は就職活動に不利になるとの懸念から留学を敬遠する学生が増えていることを指摘したところ、ブルナー院長は、「米国のビジネススクールで学ぶ外国人留学生は、卒業後、出身国にはこだわらず、自分の能力を一番高く評価してくれる職場のある国で就職をする。日本企業も今後は、優秀なグローバル人材は、国にとらわれず世界中で転職する可能性のある流動性の高い人材であることを認識し、人事担当者は、彼らにとっての魅力的な価値提案をしていく必要がある」と指摘した。