経団連の米倉弘昌会長は11日、東京・大手町の経団連会館で、会長・副会長会議後に記者会見を行った。
東日本大震災後4カ月にあたっての所感として米倉会長は、大震災の被害は広域かつ大規模で、特にがれきの処理が遅れており、衛生上の問題も出ていると指摘。「復旧・復興に向けた作業を何としてでも加速して進めなければならない」と述べ、政府に対して緊迫感とスピード感のある対応を求めた。
エネルギー政策について問われた米倉会長は、政府は、少なくとも今後5年先までエネルギーの安定確保に向けた工程表を早急に策定し公表すべきとの考え方を示したうえで、国民生活への影響はもとより、日本企業が海外に製造拠点を移転せざるを得ない事態にもなりかねず、憂慮していると語った。また、雇用を守り、経済成長を実現していくには、産業界が国際競争力を発揮できるよう、エネルギーが適正な価格で安定的に供給されることが必要であると強調した。
原発のストレステストについては、まず、福島第1原発の事故原因を徹底的に究明し、安全基準の見直しなどの再発防止策を講じることが不可欠であると指摘。そのなかにストレステストも当然含まれるものと考えていたので、本日示された政府の統一見解には驚きを禁じ得ないと語った。さらに、「政府は国民・住民が安心できるよう、きちんと説明責任を果たしていく必要がある」と述べ、原発の停止に伴う電力供給量の低下が長期化すれば、企業の生産活動、設備投資に悪影響をもたらすとの懸念を示した。