経団連タイムス No.3048 (2011年7月7日)

「ルセーフ新政権の政治・政策」聞く

−査証有効期間延長に関する要望取りまとめも/日本ブラジル経済委員会企画部会


経団連は6月29日、東京・大手町の経団連会館で日本ブラジル経済委員会企画部会(大前孝雄部会長)を開催した。会合では、上智大学の堀坂浩太郎名誉教授から「ルセーフ新政権発足半年のブラジル−政治・政策の継承と変化」をテーマに話を聞いた。また、ブラジル渡航にかかる査証発給の迅速化および有効期間延長に関する委員会要望を取りまとめた。

冒頭、堀坂氏は、8月にブラジル・サルバドールで、経団連とブラジル全国工業連盟との間で開催される第14回日伯経済合同委員会に寄せて、「ルセーフ政権の政策的方向性が見えてくる8月に、今後大きな発展が見込まれる北東部の中心地で、同委員会が開催される意義は大きい」と述べた。

ブラジルの政治体制に関しては、「1985年の民主化以降、25年間で5人の大統領が政権を担当した。特に、95年以降はカルドーゾ、ルーラの両大統領が長期安定政権を実現し、GDPをはじめ、インフレ率、貿易額、外貨準備高など、あらゆる経済指標を改善した。政府の長期安定は、近年の経済成長の礎であり、ブラジルの大きな特徴である」と指摘し、ルセーフ新政権も2期連続で政権を運営する可能性が高いとの見方を示した。

また、「ルセーフ政権は、2010年の大統領選からルーラ前政権の継承をうたってきたが、最近は徐々に脱ルーラ色を打ち出してきている」と指摘した。あわせて、大統領府官房長官、同政治交渉長官といった政府要職への女性登用が進んでいることも紹介した。

ルセーフ政権の今後の課題としては、悪性インフレ対策とインフラ整備を挙げ、「これまで個別に発展してきた諸州を一つのナショナルエコノミーへと統合させるため、電力や交通システムなどの広域インフラを早急に整備し、物流や人の流れを円滑化することが重要である」と指摘。そのための技術支援などを、日伯間協力で進めることが重要であると強調した。

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その後、企画部会ではブラジルの短期滞在査証に関する松本外務大臣宛ての要望を審議した。

現行制度では商用査証の有効期間が90日と短く、また、発給までに10営業日程度を要するなど、ビジネスパーソンの頻繁な往来への障害となっている。経済界からの問題提起に対し、日伯両政府間でも有効期間延長の協議が開始された。こうした動きを踏まえ取りまとめられた要望は、8月に開催される第5回貿易投資促進合同委員会までに、商用査証の有効期間を現行の90日間から3年間へ延長するよう求めている。

【国際協力本部】
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