経団連は、わが国GDP(国内総生産)の推計精度を高めることを公的統計における最重要課題と位置付け、今年5月の提言「公的統計の活用による的確な現状把握と政策決定に向けて」において、実質GDPの算出に用いられる一次統計の改善・拡充を提言した。
日本銀行が毎月作成・公表している企業物価指数は、企業が取引する財の価格を出荷段階で調査する国内唯一の統計であり、わが国企業を取り巻く経済環境を価格面からフォローするものとして、金融政策決定や、産業政策立案に際し非常に重視されている。また、企業物価指数はGDPを算出する際のデフレーター(価格変動の影響を取り除いた数値を割り出すための物価指数)としても利用されている。すなわち、実質GDPは工業統計調査といった生産活動に伴う製造品出荷額情報を名目値とし、これを企業物価の品目指数等で割り引くことにより算出される。このため、信頼性の高い実質GDPを算出するためには、しっかりとした企業物価指数の作成が重要となってくる。企業物価指数の指数精度を高めることは、実質GDPの精度向上に直結する重要な取り組みであり、そのためには価格情報を提供する企業側の協力が不可欠である。
現在、日本銀行では企業物価指数の基準年の改定(05年→10年)にあたり、調査銘柄の入れ替えや、より実勢を反映する調査価格定義への変更を進めている。企業物価指数が担う高い公共的意義に鑑み、経済社会の発展のため、また企業の社会活動の一環として、皆さまに企業物価指数調査への協力をお願いしたい。