「社会保障・税番号要綱」に関する説明会では 篠原参事官から説明を聞き意見交換した |
経団連は5月27日、東京・大手町の経団連会館で、内閣官房社会保障改革担当室の篠原俊博参事官から、「社会保障・税番号要綱」について説明を聞き、意見交換した。会合には、経団連の情報通信委員会、電子行政推進委員会、税制委員会、社会保障委員会の各部会委員ら約100名が参加した。篠原参事官の説明概要は次のとおり。
政府は、今年1月に取りまとめた番号制度についての基本方針に基づき、4月28日に「社会保障・税番号要綱」を公表した。要綱の取りまとめにあたっては、関係府省の副大臣らからなる「社会保障・税に関わる番号制度に関する実務検討会」のもとに、個人情報保護ワーキンググループおよび情報連携基盤技術ワーキンググループを設置し検討を重ねた。実務検討会では、地方自治体や経団連、医師会等の関係団体からヒアリングを行い、それらを踏まえ要綱を作成した。今後、6月には大綱を公表し、今秋以降可能な限り早期に「番号法案」を国会に提出したい。
要綱は法案の骨子、大綱は法案の概要という位置付けである。付番、利用事務、個人情報保護ならびに情報連携基盤のセキュリティーの4つが柱となる。また、大震災時に、防災福祉の観点で番号制度を積極的に活用できるように制度化する。
柱のうち、個人情報保護についての検討が最も進んでいるため、今回の要綱では、個人情報保護関係の記載が多くなっている。他の項目についても6月までに検討を進め、大綱に盛り込んでいく。
経済界からの要望が強い民間利用については、引き続き、各関係省庁とも調整したうえで、大綱に盛り込めるよう努力したい。
番号制度導入による費用対効果の算出については、制度設計をどうするかにより変わるため、具体的な制度設計を詰めたうえで、今後、明確にしていきたい。
個人情報保護に関し、「番号」はすべての国民に対し唯一無二性を持って特定できるものであり、罰則を強化している。
源泉徴収等を行う企業は「番号」を取り扱う事業者に該当し、法の規制を受けることとなるが、データベースの構築などで過度の負担にならないよう、制度上も配慮したい。
その他、個人が自分の情報へのアクセス状況などを確認できる「マイポータル」の整備や、ICカードの交付、個人情報の保護を目的とする第三者機関の設置などを制度化する。
続く意見交換では、「民間での利用が可能となる時期や利用範囲を大綱に記載すべき」「プライバシーに配慮したうえで、集約された巨大データを有効に活用していくことは、国際競争力の重要な要素になり得るので、そのような観点も踏まえ制度設計してほしい」などと期待が示された。