懇談会では政府の夏季の電力需給対策を聞いた |
日本経団連は19日、東京・大手町の経団連会館で、「本年夏の電力需給対策に関する懇談会」を開催した。
東日本大震災の影響により、今年の夏は大幅な電力供給不足に陥るおそれがあることから、政府は需給対策の検討を進め、今般、「夏期の電力需給対策について」を取りまとめた。そこで会合では、経済産業省の井内摂男大臣官房審議官から、同対策について説明を聞き、意見交換を行った。当日は520名が参加した。
井内審議官の説明概要は次のとおり。
電力制約が震災からの復興と日本経済の再出発の妨げとなることのないよう、国民生活および経済活動への影響の最小化を目指す。特に、国の活力の源であり、復興の基盤である産業の生産・操業活動への影響を最小化することが必要。具体的対策については、労使で十分に話し合いながら準備を進めるべきである。
需要抑制については、供給面での積み増しを最大限行ったうえで目標を設定することとし、あらかじめピーク期間・時間帯の使用最大電力の抑制幅を示す。これにより、需要家が、操業時間のシフトや休業・休暇の長期化、分散などに創意工夫を凝らして計画的に取り組むことが可能となる。なお、計画停電は不実施の状態を維持するよう万全を期しつつ、セーフティーネットとして位置付け、万が一の緊急時に対応できるよう備えておく。
今夏の供給力の見通しは、東京電力で5380万キロワット(kW)(7月末)、東北電力で1370万kW(8月末)となり、最低限必要な需要抑制率は、東京電力でマイナス10.3%、東北電力でマイナス7.4%となる。
余震の影響や老朽火力発電所の昼夜連続運転等の技術的リスクを勘案し、東京・東北電力管内全域における需要抑制率の目標はマイナス15%と定める。そのうえで、大口需要家(契約電力500kW以上の事業者)、小口需要家(契約電力500kW未満の事業者)、家庭の部門ごとの需要抑制目標は、均一にマイナス15%と設定する。
目標を達成するため、大口需要家は、具体的対策に関する計画を策定・実施する。政府は、このような需要家の自主的な取り組みを尊重しつつ、実効性および公平性を担保するため、電気事業法第27条(電気の使用制限)を活用できるよう必要な準備を進める。
小口需要家は、具体的な抑制目標と自主的な計画を策定・公表する。また、家庭の節電の取り組みを促すため、政府は、家庭の節電対策メニューの周知などを行う。
さらに、政府は、国民各層への積極的な啓発活動を行うことにより、節電の取り組みを国民運動として盛り上げるよう努める。
今夏以降の電力需給対策は、今後のエネルギー政策の検討によるが、まずは、原子力発電所の安全確保に万全を期す。同時に、火力発電所の復旧・立ち上げ・増設、地域間連携設備の増強、分散型電源の導入拡大など、供給面の対策を講じるとともに、省エネの推進、スマートメーターの導入促進などにより、需要の抑制を図る。