日本経団連の情報通信委員会情報化部会・電子行政推進委員会電子行政推進部会(遠藤紘一部会長)は13日、東京・大手町の経団連会館で合同会合を開催し、東京工科大学コンピュータサイエンス学部の手塚悟教授から、企業コードに関する制度設計のあり方について説明を聞き、意見交換した。手塚教授の説明概要は次のとおり。
政府は、「社会保障・税に関わる番号制度についての基本方針」(2011年1月31日)において、法人に対して「番号」を付番する方針を示している。「法人番号」は、網羅性、一意性、一貫性、非再利用性、開放性、非譲渡可能性、信頼性、参照可能性を満たす必要がある。この「法人番号」を前提とした「企業コードに関する制度設計案」が、政府のIT戦略本部の下に設置された「電子行政に関するタスクフォース」において検討されている。
企業コード導入の主目的は、企業に対する行政サービスの飛躍的向上および抜本的な行政の効率化にある。企業から行政(BtoG)や行政内(InG)での利用に加え、将来的には企業間取引(BtoB)や企業内(InB)での利用も可能な制度設計の検討を進めている。昨年6月にIT戦略本部が公表した「新たな情報通信技術戦略工程表」では、2010年度から11年度にかけて、課題抽出と企業コードのあり方の検討を行うとしており、これを踏まえて制度設計を進める必要がある。
現状では、行政機関や民間機関がそれぞれ企業コードを発行しており、それらをいかに連携し、紐付けるかが重要な課題である。また、商業・法人登記には社名の英字表記がないなど、情報量が不十分である。実在確認された事業者に関する基本的属性情報が、ネット上で正確、便利に利用できる仕組みが求められている。そこで、企業コードの制度設計にあたっては、「企業コードの紐付け機能」「企業属性情報の参照機能」「企業認証機能」の3つの機能が必要になる。
今後、電子行政タスクフォースにおいて、企業コード導入に対する具体的ニーズ、導入効果、必要機能の詳細化や実現に向けた官民の役割分担、スケジュールの明確化等について議論し、基本構想をまとめる予定である。経団連には引き続き具体的な利用例の提供等で協力してほしい。
続く意見交換では、「どの行政機関が企業のどのような情報を保有しているのかを明らかにすることが必要である」「企業コード制度をどこが担うかが重要だ」「企業の英文商号を整備することは意義がある」等の意見が出された。