日本経団連(米倉弘昌会長)は22日、震災からの復興に向けた体制整備に関する提言「震災復興基本法の早期制定を求める」を公表した。
政治の強いリーダーシップによる国を挙げた迅速かつ一体的・総合的な取り組みの強化は喫緊の課題である。被災地域の早期復興と新しい日本の創造に向けた「基本法」を制定し、強力な指揮命令権を持つ司令塔を確立するとともに、被災地の声を十分に反映した「基本計画」の策定等を急ぐ必要がある。
提言の概要は次のとおり。
東日本大震災で甚大な被害を被った地域の早期復興と、新しい日本の創造に向けた施策を迅速かつ総合的に推進するためには、まず、基本的な理念やその他の基本事項を定めるとともに、必要な体制を整備するための「震災復興基本法」を制定すべきである。具体的には、震災復興に関する施策の総合的かつ計画的な推進を図るための「震災復興基本計画」の策定、国全体としての強力な司令塔である「震災復興総本部(仮称)」の設置、基本計画に基づく施策の一元的実施のための「震災復興庁」の設置などを法律で定めるものとする。
政府は、地方の意向を反映しつつ、新しいまちづくりや産業復興、道路・鉄道・港湾・空港・情報通信等といったインフラの整備、雇用の維持・確保、国土の良好な環境・文化・景観の保全に加え、復興財源の確保と財政健全化の両立、震災復興特区の指定等を含む「震災復興基本計画」を基本法施行後速やかに作成し、閣議決定すべきである。
そのうえで、国の基本計画に基づいて、被災地域の地方公共団体は地域の特性や住民の意向を踏まえた施策を推進するための地方計画を策定する。その際、公共団体間の広域連携を推進するよう、複数の県間および市町村間での協議会により「震災復興広域地方計画」を策定するものとする。
縦割り行政を排除し、震災復興に係る一切の権限・予算を集約した司令塔として「震災復興総本部(仮称)」を内閣に設置すべきである。
震災復興総本部は、震災復興基本計画案の作成および実施の推進、同計画に基づいて実施する施策の企画・立案・総合調整等をつかさどる。総本部長としての内閣総理大臣と専任の国務大臣としての総本部長代理が、震災復興基本計画等に基づいて行政各部を指揮監督する。本部員については、その他のすべての国務大臣に加え、与野党幹部や被災地域の自治体等の関係者の震災復興総本部への参画を求め、国を挙げた体制とする必要がある。また、有識者等の意見の聴取や施策の実施状況の評価・監視のための組織を設置できるものとし、事務局には行政の内外から精鋭を集めることが肝要である。
震災復興総本部の下に、震災復興総本部長代理を長とする「震災復興庁」を設置し、震災復興基本計画に基づく震災復興に関する施策を一元的に実施する権限を有することとする。同時に、地方公共団体との調整機能を持たせ、機能的な連携を通じて総合的な対応を図るべきである。
なお、震災復興庁は、震災復興基本計画の実施期間内の時限機関とし、設置期限終了時には震災復興庁および関連のすべての権限を広域自治体に移管し、道州制につなげていくものとすべきである。