日本経団連タイムス No.3038 (2011年4月7日)

2010年9月度「退職金・年金に関する実態調査結果」発表

−退職金算定基礎額、7割超が「賃上げ額とは別建て」


日本経団連は3月25日、2010年9月度「退職金・年金に関する実態調査結果」の概要を発表した。この調査は、退職金・年金の実態および退職金水準の動向を把握し、退職金制度の見直し等の際の参考とするために、1973年から隔年で実施している。今回は、日本経団連の企業会員および東京経営者協会の会員企業1931社を対象に実施、277社(製造業56.3%、非製造業43.7%)から回答を得た(有効回答率14.3%)。調査結果の概要は次のとおり。

1.標準者退職金と定年退職者の退職金

標準的に進学して学校卒業後直ちに入社した後に標準的に昇進・昇格した者(標準者)が退職した場合の退職金(会社都合)を、55歳と57歳の年齢ポイントでみると、「管理・事務・技術労働者」の総合職・大学卒では2245万円・2400万円、同高校卒では2040万円・2127万円となっている。

また、標準者が60歳で定年退職した場合の退職金は、「管理・事務・技術労働者」の総合職・大学卒では2443万円、同高校卒では2185万円、「生産・現業労働者」の高校卒では2029万円であった。

2.賃上げ額と退職金算定基礎額との関係

賃金改定による賃上げ額が退職金算定基礎額にどのように影響するかについては、「賃上げ額とは関係なく別建て」との回答が7割以上(72.3%)で最も多い。その内訳をみると、「ポイント方式(点数×単価)」(81.9%)が最も多く、90年(30.4%)から増加を続けている。

一時金・年金制度併用74%

3.退職金制度の形態

退職金制度の形態は、「退職一時金制度と退職年金制度の併用」が74.5%(08年調査71.3%)、「退職年金制度のみ」が12.8%(同14.2%)、「退職一時金制度のみ」が10.2%(同12.3%)となっている。

さらに、「退職年金制度」のある企業について、その種類をみると、「確定給付企業年金(基金型・規約型)」(74.6%)が最も多く、以下「確定拠出年金(企業型)」(42.3%)、「適格退職年金」(10.5%)、「厚生年金基金」(9.7%)の順であった。

4.適格退職年金廃止への対応

2012年3月末に予定されている適格退職年金廃止への対応では、「すでに対応済み」が9割(90.0%)に達している。対応内容は「他制度へ移行済」がほとんど(99.6%)で、移行先としては、「確定給付企業年金(規約型)」(51.6%)が最も多いほか、「確定拠出年金(企業型)」(43.0%)、「確定給付企業年金(基金型)」(29.6%)への移行も目立つ。

一方、未対応企業(10.0%)では、「他制度への移行予定あり」が8割超(84.0%)、移行予定先としては、「確定給付企業年金(規約型)」が6割弱(57.1%)に上っている。

【労働政策本部】
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