日本経団連の情報通信委員会情報化部会・電子行政推進委員会電子行政推進部会(遠藤紘一部会長)は9日、東京・大手町の経団連会館で合同会合を開催し、内閣官房社会保障改革担当室の海野耕太郎企画官から、社会保障・税に関わる番号制度にかかる個人情報保護方策の政府における検討状況について説明を聞き、意見交換した。海野企画官の説明概要は次のとおり。
政府は、社会保障・税に関わる番号制度に関する実務検討会とIT戦略本部企画委員会の下に、個人情報保護ワーキング・グループと情報連携基盤技術ワーキング・グループを設置して、共通番号制度と国民ID制度に関する検討を進めている。個人情報保護方策については、2月23日に「社会保障・税に関わる番号制度及び国民ID制度における個人情報保護方策の骨格案」が示された。これをもとに議論を進め、4月に「社会保障・税番号要綱」を取りまとめる予定である。
番号制度に対する国民の懸念は、(1)国家による国民の監視・監督(2)プライバシーの侵害(3)財産的被害の発生――の3つに大別される。これらへの対応策として、(1)政府から独立した第三者機関の設置(2)国家が管理する個人情報の分散管理、容易に名寄せ・突合できないシステムの構築(3)目的外利用・提供の制限(4)権限のある者以外のアクセスの不可能化(5)罰則の新設――などの措置を講じる。
番号制度に関する個人情報保護方策は、現行の個人情報保護法制の特別法に位置付け、EUデータ保護指令やプライバシー・バイ・デザイン(注)等といった国際的な考え方にも配意し、住基ネットよりさらに高度の安全性を確保し得るものとする必要がある。
第三者機関は、国の行政機関のほか、地方公共団体および番号を取り扱う民間事業者も監視の対象とする。監視対象機関に対する立入検査権限や、国や地方公共団体に対し命令に相当する権限を行使できる仕組みなどについて、検討を行う。
また、番号制度の利用場面を逐一法律または政令に書き込むことで利用目的を特定する。何人も正当な理由なく利用目的以外の用に供する目的で、番号の告知を求めてはならないこととする。
続く意見交換では、「行政機関に対しても第三者機関が有効に機能することが重要」「現行の個人情報保護法との整理が重要」「EU指令など国際的な整合性を持つ制度が必要」等の意見が出された。