日本経団連は15日、「力強い農業の実現に向けた提言」(2011年2月10日)のなかで提案した「元気なふるさと共創プラン(仮称)」の一環として、「農林漁業等の活性化に向けた取り組みに関する事例集」を公表した。
これは、国民に食料をはじめ多様な自然、文化、景観など、豊かな恵みをもたらす地域の農山漁村を国民全体で支え、元気な「ふるさと」を共に創っていくための経団連会員企業・団体等の取り組みをまとめたもの。
経団連が全会員企業・団体約1600社を対象に実施したアンケートに寄せられた224件の事例を、回答者の社名・連絡先も含めて公表している。
事例を取り組みの類型ごとに整理すると、「農林漁業の生産性・収益性向上に資する品種・資機材・サービスの開発・提供」が42件、「国産品・加工品の国内外における販路拡大・消費拡大」が27件と多く、経団連では、これまで推進してきた農商工連携や地産地消の取り組みが着実に広がっている証左と評価している。
また、2009年12月に施行された改正農地法で規制の見直しが行われたこと等もあり、「農地の賃借・農業生産法人の設立等による農業への参入・農業生産法人等への出資と有機的な連携」も13件みられた。
加えて、「社内研修・ボランティア等を通じた農山漁村との交流の推進」が25件、「社員食堂・社内マルシェ(産直市)等による国産品・加工品の消費拡大」が17件と、CSR(企業の社会的責任)的な観点から、企業・団体が農林漁業等を支援していこうという動きも多いことが判明した。
今後、経団連では、この事例集を通じて、経済界の内部で優れた取り組みの横展開を図るとともに、企業・団体との連携・協力を模索する農業界や地方公共団体などの参考として情報提供することで、取り組みの一層の推進を図っていきたいとしている。
また、今後これらの取り組みを検討する企業・団体と、農林漁業関係者とのマッチングなどにつき、農林水産省や経済産業省など関係省庁に対して、相談窓口の設置などを求めている。
事例集の全文は、ホームページ(URL= http://www.keidanren.or.jp/japanese/policy/2011/016/index.html )に掲載。