日本経団連タイムス No.3034 (2011年3月10日)

日本経団連グリーンフォーラム開催

−2月講座、企業倫理をテーマに


企業倫理をテーマに開催した
日本経団連グリーンフォーラム2月講座

5月に開講した第5期日本経団連グリーンフォーラム(チーフアドバイザー=大橋洋治全日本空輸会長、日本経団連副会長)は2月25日、企業倫理をテーマに2月講座を行った。講師は梅津光弘・慶應義塾大学商学部准教授。企業経営をめぐる価値転換の流れを追うとともに、グループ討議のなかで一人ひとりが能動的に意見を述べるケースメソッドを通じて、倫理的思考の定着を図った。

講義の冒頭、梅津氏が、「企業経営に携わる志があるなら、いつかどこかで哲学や倫理学を学ばなければならない」と語った。「無駄に思えるかもしれないが、何を指針に舵取りをするのか、自身の人生哲学は何か、会社の方針・伝統、変えてはならないものは何か、反芻する必要がある」と強調した。

また、20世紀後半に、不祥事をきっかけに始まった企業経営の価値転換の動きを、(1)企業倫理論(2)コンプライアンス論(3)企業社会責任論(CSR)(4)持続可能な発展――の4つの“震源”から整理。そのうえで、21世紀型経済の基本理念を「持続可能な成長に投資する緑の経済」とするとともに、「持続可能性とは不祥事を起こさないということ」と、不祥事リスクの重大さを訴えた。

ケースメソッドを通じて倫理的思考の定着図る

講義に続いてメンバーはグループに分かれ、ケースメソッドにより討論を行った。

教材となった3つの実例は、ステークホルダーとの関係、企業倫理とコンプライアンス、叱責かパワハラかなど、企業経営の常識に挑戦する問いかけであり、こうしたジレンマを追体験することで、何が問題か、何を最も重視すべきか、どのような対応が可能かなど、自身の意見形成を試みた。

実習を終えて梅津氏はコンプライアンスについて触れ、「企業倫理とコンプライアンスという考え方とは似て非なるもの。保守的に既存の法令を忠実に守るだけでは足りない、まったく別の規範意識があるのではないか」とただし、社内で倫理観や方向性を一致させておくことが重要であると指摘した。

さらに、「企業倫理やコンプライアンスは時代と社会の要請であり、これからのマネジメントでは重要なもの。意味のわからないルールを守ることはつらい。ルールの背後にある意義と目的を組織全体で理解し育んでいく必要がある」と訴え、「企業が善くならなければ社会は善くならない。企業倫理をもっと広く考え、働きがいのある職場にすることが重要」と結んだ。

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グリーンフォーラム第5期は3月11日に全課程を修了。講座を振り返り、メンバー一人ひとりが「100日行動計画」を策定し、修了を機に計画をスタートさせる。次年度第6期は5月10日に開講の予定。コーチングや交渉力、プレゼンテーション、プロジェクトマネジメントなどの専門力とともに、キャリアデザインや企業倫理についても考え、学ぶ。
参加申し込みほか詳細は、日本経団連事業サービス研修グループ(電話03‐6741‐0042)まで。

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