日本経団連は2月21日、都内で自由民主党首脳と当面の重要政策課題等をめぐり意見交換した。会合には自民党から、谷垣禎一総裁、大島理森副総裁、石原伸晃幹事長、小池百合子総務会長、石破茂政調会長、中曽根弘文参議院議員会長、小坂憲次参議院幹事長、森山裕経理局長らが出席。経団連から、米倉弘昌会長、渡文明評議員会議長ら19名が出席した。
冒頭、米倉会長は、「わが国は新興国との競争激化や人口減少社会の到来など、内外において非常に厳しい状況に直面している。一日も早く力強い経済を取り戻し、豊かで希望あふれる社会を築かなければならない。このために必要な政策を迅速かつ着実に実行していく『行動力』こそ、いま国民が政治に強く期待していることだ」と述べ、来年度予算ならびに関連法案の早期成立を要望した。また、「税・財政・社会保障制度の一体改革やTPP等の経済連携協定の早期締結は、わが国の将来を左右する重要課題だ。これらの重要政策課題の実現に向け、自民党には、危機的状況にある日本を救うという気概をもって、国民本位・国益本位の観点から超党派の取り組みにも積極的に参画してほしい」と述べた。
続いて谷垣総裁は、「民主党のマニフェストはもはや基本構造が成り立たず、政権の正当性にかかわる。また、政権や与党の内部が掌握されていないがための問題も起きている」と述べたうえで、「自民党は財政健全化責任法や政府の来年度予算案に対する考えなどさまざまな政策を発信してきた。結果、与党との乖離は明らかで、党の基本的な方向として、来年度予算ならびに関連法案には賛成できない。一度、国民の声を聞き、新しい方向を出すことが早道である」と述べ、解散総選挙を求めていく考えを示した。
その後の意見交換では、経団連側から、税制や温暖化対策等にかかわる国際的な事業活動のイコール・フッティングの確保を要望したことを受け、石破政調会長は、「単純に法人税率を下げればよいのではなく、税制としてどこを重点的に支援すべきかを検討する必要がある」と述べるとともに、民主党の地球温暖化政策について、「企業に過重な負担を与えるもので非現実的な政策だ」と指摘した。
このほか経団連側から、税・財政・社会保障制度の一体改革に向けた党派を越えた政策論議、ならびにTPP交渉への一刻も早い参加と力強い農業の実現を要望した。
発言する米倉会長(右)と谷垣自民党総裁 |