米国防総省(ペンタゴン)でのミッション一行 |
日本経団連は1月30日から2月6日の日程で、「米国の防衛産業政策に関する調査ミッション」を派遣した。ミッションには、岩崎啓一郎・防衛生産委員会基本問題ワーキング・グループ主査を団長として企業の実務者クラスが参加し、米国の政府機関や防衛関連企業における取り組みを調査した。米国においては、防衛産業政策や輸出管理改革を積極的に推進しており、わが国の防衛産業政策を確立するうえで示唆を与えるものであった。ミッションの概要は次のとおり。
国防総省は防衛産業政策を実施しており、防衛予算の緊縮が見込まれるなかで、装備品の選択と集中を図りながら、グローバルな競争力を持つ産業基盤の確立を目指している。また、調達改革による効率化や防衛科学技術予算の充実なども図っている。
輸出管理において、国防総省は、軍需品とデュアルユース(軍民両用)のライセンスのレビューを行う。オバマ大統領のトップダウンにより、輸出管理改革が行われており、(1)(1)国務省の米国軍需品リストと商務省の輸出管理リストの一元化(2)ライセンスを一元的に付与する庁の新設(3)ITシステムの統合――などが実施されている。
商務省は、デュアルユースの輸出管理を管轄している。輸出管理法(EAA)のもとで通商管理リストを定めて、国際的な枠組みであるワッセナー・アレンジメント(注)に沿った規制をしている。
(注)武器や関連汎用品、技術の移転について責任ある管理を行い、地域の安全を守るための枠組み。1996年に発足し、現在40カ国が加盟。
国務省は、政府間での装備品の売却や技術の供与について認可する。また、防衛装備品の輸出ライセンスの認可を担っており、2010年の処理件数は8万3000件、輸出額は1000億ドル以上であった。
輸出管理の法的枠組みとしては、武器輸出管理法(AECA)があり、その中に国際武器移転規則(ITAR)と米国軍需品リストがある。武器輸出管理法により、武器輸出を行うためには議会の承認が必要とされる。
レイセオンは、日本を含む80カ国以上に事業を展開しているグローバルな防衛関連企業である。国際展開としては、製品の輸出、海外とのパートナーシップ、海外投資が3つの柱である。日本とはスタンダードミサイルの共同開発などで協力しているが、今後、共同研究を進めるためには武器輸出三原則等の見直しが必要になる。