日本経団連は10月28日、東京・大手町の経団連会館で400名を超える参加者を得て、第9回企業倫理トップセミナーを開催した。
開会あいさつを行った企業行動委員会の加藤壹康共同委員長は、社会からの信頼を獲得して企業が事業活動を展開するうえで、企業倫理の徹底は欠かすことのできない取り組みだと述べた。
引き続き、一橋大学法科大学院長の松本恒雄教授が「国民の視点から見た企業に求められる役割」と題する講演を行った。
講演終了後、企業行動委員会の吉田豊次企画部会長が、今年9月に改定された「企業行動憲章」と「実行の手引き」のポイントを説明した。
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講演する松本一橋大学法科大学院長 |
消費者政策の変革のなかで、株主代表訴訟や公益通報者保護、消費者団体訴訟制度など取締当局以外のステークホルダーが前面に立ったコンプライアンス監視制度ができている。
コンプライアンスとは何かの要望に応えることで、ステークホルダーの要望のうち最低限を定めた法令を守るのが狭義のコンプライアンスだ。したがって法令だけ守っていればよいというわけではない。法の意図や社会からの要請を理解することが肝要だ。
この点、ISO26000(社会的責任に関する国際規格)で企業等の組織が対応すべき課題として挙げていることは、無意識のうちにすでに実施していることが実は多い。そこで企業の対応として大事なのは全社を束ねて横串を通すことだ。そうすると不十分な点、先行している点が見えてくる。
加えて、経営陣の意識も重要だ。組織統治が社会的責任の課題の筆頭に挙がっているのは、組織の課題として経営トップが取り組まねばならないことを示している。その意味で、会社法でいうガバナンスとCSRにはつながっている部分がある。
企業だけが社会的責任を求められるのではなく、ステークホルダーはそれぞれに責任を負う。ISO26000の消費者課題の分野では、消費者が担う責任を定めている。企業は教育や情報提供で消費者をサポートすることが求められる。
それぞれのステークホルダーは何ができるのか自ら考え、時には他者との対話を通じて判断する。この過程を経て、世の中が少しずつ良くなっていく。
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400名超が参加者した企業倫理トップセミナー |