日本経団連は参議院選挙直前の9日、東京・大手町の経団連会館で政治コラムニスト・共同通信社客員論説委員の後藤謙次氏を招いて、第6回昼食講演会を開催した。当日は178名が参加し、「参院選大胆予測と政界地図」と題した講演を聞いた。講演概要は次のとおり。
菅直人氏が民主党代表となって菅政権の骨格は6月7日に決まったが、その日はハンガリーの財政不安が伝えられたこともあり、日経平均株価は今年最大の下げを記録した。ご祝儀相場が通用しなかったのである。政治が経済にマイナスの影響ばかりを与えるような状況を一刻も早くやめさせなければならない。菅総理は平成になってから16人目の総理大臣だ。
鳩山由紀夫前総理のもとで副総理だった菅氏は、鳩山氏に対して「たとえ支持率が0%になっても辞任すべきでない」と言っていたようだ。自身の支持率が0%になっても辞任しないということであろうか。
1979年の大平正芳総理による一般消費税構想の撤回後、土光臨調による行政改革の徹底を経て、ようやく消費税は導入された。消費税率を上げるためには丁寧な手順が必要だったのだが、菅総理は記者会見の場で突然、自民党が掲げる「10%を参考にする」と発言した。事前に誰にも相談せずに発言したようだ。消費税に関して与野党協議も求めているので、これを呼び水に、消費税を軸とした大連立政権を構想しているのかもしれない。しかし、その前に菅総理は小沢一郎前幹事長を説得しなければならない。
もっとも、小沢前幹事長は、幹事長職を辞してから静かにしていれば参院選の後に発言力が高まったであろうが、執行部の消費税増税路線や枝野幸男幹事長を批判したことで、党内の分裂を招いたとの誹りは免れない。
自民党は、改選獲得議席数が50を超えれば改選第一党となる。そうなると、かつて小沢民主党代表が主張した「直近の民意」を掲げ、対決を強めるだろう。
与党から出た新党は決意を明確に示しやすく成功しやすい。古くは新自由クラブが成功例であり、党名の親しみやすさもあり、みんなの党は躍進するであろう。
今後のカギとなるのは旧さきがけ人脈だ。鳩山前総理、菅総理、枝野幹事長はいずれも新党さきがけのメンバーである。同じさきがけのメンバーであった田中秀征氏は現在、みんなの党の選挙対策特別顧問であり、同じくメンバーだった園田博之議員はたちあがれ日本の幹事長である。
8月には来年度予算の概算要求が行われる。このまま放漫財政を続けるようでは、予算編成は大変厳しいものになる。
11月のAPEC首脳会議、オバマ大統領来日を前に、基地問題も前進させなければならない。
怨念政治を続けている暇はない。