日本経団連は8日、政府のIT戦略本部における新たなIT戦略の策定に向け、「新しい社会と成長を支えるICT戦略のあり方」と題する提言を取りまとめ、公表した。提言では、総論のみならず、戦略推進のための具体例を「新しい社会と成長を支えるICTプロジェクト100」として提示した。
提言で示した、新たなICT戦略の基本的視点は、次のとおり。
- ICT(情報通信技術)により、新たな社会システム構築を目指すよう、都市づくり、人づくり、社会づくりの一環としてICT戦略を位置付ける。
- ICTによって、わが国が強みを持つ産業をさらに育成し、雇用確保を図る。
- 政権交代などにかかわらず、確固たる長期整備計画に基づいて戦略を遂行する。
- 国全体のコンセンサスを形成し、オールジャパンで戦略遂行する。
また、これらの視点に基づき、以下の5分野を重点的に取り組むべき分野として示した。
- 政府部門の「つながる化」~電子行政の推進。社会保障・税の共通番号の迅速な実現など。
- 環境・エネルギー問題への貢献。省エネ・環境技術の活用、スマートグリッドや高度道路交通システム(ITS)などによる面的な環境対策の推進など。
- 安心・安全な社会システムの構築。車両の通信技術を用いた運転支援システムなど安心・安全技術を核とした社会システムの確立、医療・介護分野のデジタル化による「コスト増なき医療革命」の実現など。
- 新産業の創造、地域力・アジア力の取り込み。APECの活用など。
- 高度情報通信人材の育成。あらゆる分野に不可欠な高度ICT人材を産学官が連携して国家的な取り組みとして育成。
戦略を遂行するうえでは、国のIT戦略の総責任者として行政CIOを任命し、その下に必要な人材を集結し、予算を一元的に管理することや、法律によって着実に推進することなどを求めている。また、戦略の進捗状況を第三者的な立場で評価するなど、PDCAサイクルを強化することを求めている。
なお、具体的な取り組み例などの提言全文は日本経団連ホームページ( http://www.keidanren.or.jp/japanese/policy/2010/013/index.html )に掲載している。