日本経団連事業サービス社内広報センターは5日、都内で2009年度「日本経団連推薦社内報・推薦映像社内報」の入賞作品の表彰を行った。
「推薦社内報」には、企業・団体・事業所から186作品の応募があり、一次・二次審査の結果、「最優秀賞」1作品、「優秀賞」3作品、「総合賞」25作品、「特別賞」14作品を選定した。
現下の不況は社内広報活動にも大きな影響を与えている。発行回数減少やページ数減少、紙質変更、カラー刷から二色刷、一色刷といった経費節減に取り組んでいる。
応募作品を見ると、「ピンチはチャンス」とばかり一段と社内広報活動に積極的に取り組んでいる企業がある一方、業績低迷による社内の活気のなさをそのまま紙誌面に引きずってしまった企業などさまざまである。編集方針の一つに「モチベーションアップ」を掲げているにもかかわらず、矛盾するケースも見られた。
全体にレイアウト・デザインの外注が増えているためか、ビジュアル面での効果は高くなっている。しかし個々の企業のDNAともいうべき企業風土・文化が伝わってこない例も見られる。紙誌面づくりのうえでよい点を積極的に吸収することは重要だが、そのままのコピーにならないようにすることが大事である。
入賞作品を見ると、発行目的、編集方針を具現化するかたちで企画化していることがわかる。同時に編集者がグループ会社を含めた自社の経営環境や状況を熟知しており、それが時宜を得た企画・内容につながっている。
特集は発行回数に関係なく、多角的な切り口で構成し、従業員が気づいてほしいことを力強く訴えている。自社の事例を積極的に取り上げ、従業員がイメージしやすい内容に仕上げていこうという意欲を感じさせる誌面も多かった。さらに「他社に学ぶ」的な切り口で先進企業に取材し、担当者から直接話を聞くなど、社外に目を向けた企画も目立った。特集企画に関係する点を専門家や有識者からコメントをもらっているのも目についた。
「推薦映像社内報」では、31作品の応募のうち、一次・二次審査を経て、「優秀賞」3作品、「総合賞」2作品、「特別賞」4作品を選んだ。
今回の応募では、不況の影響を受けて、経営トップ自らが経営方針や課題、考え、決意を表明する番組の応募が多いかと思われたが、わずか1作品だった。むしろ営業活動を支援するつくりにして、営業・生産など現場にカメラを入れ、従業員に語らせる手法が多い。
編集・撮影といった、ある程度の専門性を要求される分野では、外注化が目立つ。この場合、制作担当者は管理・監督、社内調整をはじめ、企画・構成、シナリオなどを手がけるわけだが、絵コンテまではいかなくても、ある程度ストーリーを考え、撮影時に担当者自身も積極的に加わってほしい。デジタル化によって自分たちでも撮影は可能になっている。取材・撮影先とコミュニケーションを図り、制作する楽しさを積んでほしい。
入賞作品を見ると、活字社内報以上に従業員に何を伝え、理解促進にどう役立ててほしいのか、意図・テーマを明確に持って制作されている。映像は一過性という性格を持っているため、その点を意識して制作された作品が、視聴者に強い印象を与えており、そのような作品が高い評価を受けた。
※推薦映像社内報は「最優秀賞」該当なし