握手する大塚評議員会副議長・観光委員長(左) と朴全経連副会長・観光産業特別委員長 |
日本経団連の観光委員会(大塚陸毅委員長)と韓国の全国経済人連合会(全経連)観光産業特別委員会(朴三求委員長)は4日、東京・大手町の経団連会館で「第4回日韓観光協力会議」を開催した。日本側からは、御手洗冨士夫会長、佃和夫副会長、大塚評議員会副議長・観光委員長、本保芳明観光庁長官が出席した。また、今回は、特に東レの平井克彦相談役をはじめ、トヨタ自動車、大成建設など製造業界や建設業界関係者なども参加した。韓国側からは、朴副会長・観光産業特別委員長をはじめ観光業界関係者や権哲賢駐日韓国大使が参加した。また、中国国家旅游局の範巨霊東京首席代表も参加、総勢91名の会議となった。
同会議は、観光分野での日韓経済界の協力関係を強化することを通じて、北東アジアにおける経済連携を緊密化することを目的としており、2006年に第1回会合を開催して以来、毎年開催している。
開会にあたり、大塚副議長・観光委員長は、「日韓中3国によるさらなる協力強化を経済界ベースで着実に進めていくことが重要。会議を通じて、具体的な協力が一層進むことを期待している」とあいさつ。これに対し、朴副会長・観光産業特別委員長が、「日韓両国は今、どの国にもまして近くて近い国といえる。この会議により、経団連と全経連が未来志向の協力関係を深めていけるよう祈念する」と述べた。さらに、御手洗会長が、日本経団連と全経連が協力して日韓中3国間の連携強化に取り組んできたことに触れつつ、観光協力が日韓関係はもとより、北東アジアの経済連携強化に果たす役割の大きさを指摘し、「2010年の上海万博、2012年の麗水(よす)万博を機に日韓中の3カ国の観光交流が拡大し、北東アジアの地域の連携強化につながるよう、経団連としても支援していきたい」と抱負を語った。
今回の会議では、日韓産業協力の主要な柱に観光を改めて位置付け、さらなる観光交流促進に向けた環境整備を、日本経団連と全経連が連携して行っていく方針を再確認した。また、日韓が中心となって北東アジア観光ゾーンにおける人的交流を促進するための日韓両国企業の協力について進捗状況を報告するとともに、今後の協力方策を検討した。その結果、共同商品開発による地域活性化や、第3国での新しい観光市場開拓などにおいて多様な協力が両国企業で展開されているほか、医療観光といった新たな分野に韓国側が積極的に取り組んでいることも明らかになった。
会議終了後、覚書を採択し、日本経団連と全経連は、北東アジアにおける観光交流をさらに活発化するために、日韓両国の空港・港湾のハブ機能強化などハード面での環境整備を図るとともに、観光統計の整備やCIQ(税関・入管・検疫)手続きの迅速化、公共交通機関の多言語表示といったソフト面での環境整備を、両団体が協力しつつ両国政府に対してそれぞれ働きかけていくことで合意した。今回の会議には、観光業界の枠組みを超えて、製造業界、建設業界の主要企業の幹部が参加したことで、今後、経済界全体として観光立国の実現に取り組む気運が高まるものと期待される。
日韓観光協力会議の翌日、大塚副議長・観光委員長を団長に、韓国側代表団30名を、観光委員会有志20名で新潟県越後妻有地方の『大地の芸術祭』に案内した。同イベントは、現代アートによる地域活性化の事例として有名であり、「観光を通じた地域振興」という観光委員会の検討に供するものであるとの趣旨から、観光委員会としては8月の直島視察に引き続き行ったものである。現地では、アートディレクターで著名な北川フラムさんをはじめ関係者から説明を受けた。韓国側は、美しい田園風景に溶け込んだアートと、地元住民による手厚いもてなしなど日本のホスピタリティーに大いに満足していた。