日本経団連は17日、提言「PFIのさらなる活用を求める」を公表し、新政権をはじめ関係方面に建議した。提言の概要は次のとおり。
PFI(Private Finance Initiative)は、民間の優れた能力や創意工夫を活用して、公共施設・サービスなどの質の向上と同時に、コスト削減を図るものである。
わが国のPFIは、公共施設の整備にはじまり、病院や廃棄物処理施設などの運営も行っている。多くの案件で、行政、利用者から高い評価を受けている。
ただ、英国などと比較して、近年、わが国のPFIは伸び悩んでいる。この背景には、不透明な選定基準、採算度外視の価格設定、民間への過度なリスク転嫁、支援体制の欠如など多くの課題に対して抜本的な対策が講じられなかったことがある。そのため、企業の参加意欲が薄れ、PFIの先細りが危惧される状況にある。
PFIによって民間の資金、優れた経営能力等を活用することで、質の高い公共サービス、社会資本整備を低コストで実施できる。いわゆる官製市場に民間が参入することで、新事業・新産業の創出も期待される。また、PFI等によって公共サービスの民間開放が進めば、公共部門の業務や組織の改革を促し、小さな政府の実現や民主導の経済社会運営も可能となる。PFIは地域の特性や住民ニーズを反映した行政サービスも可能とする。
新政権がPFIの活用を国の政策として明確に位置付け、政治のリーダーシップにより推進すべきである。
具体的には、第1に、政府・与党として強力な推進組織を設ける必要がある。第2に、PFIは複雑で高度な専門性が求められるが、実務面でサポートする仕組みがない。PFIの案件創出や運営で地方自治体を支援する体制を構築すべきである。第3に、現在のPFIは箱モノの整備が中心だが、水道、病院など運営まで行う事業においてもさらに活用するとともに、福祉、防災、環境・省エネといった新たな分野にも拡大すべきである。第4に、行政刷新会議が行っている「事業仕分け」において、民間が実施すべきとされた事業については積極的にPFIを活用すべきである。
現行のPFIの法制度は、上意下達的な従来の公共事業の発想、枠組みが根底にある。官の関与を最小限とし、民間の能力を十分に発揮するという、PFI本来の趣旨に即した制度の再構築が必要である。
具体的には、第1に、PFIは官民の共同事業であり、十分な効果を上げるためには官民が対等な立場で事業に当たる必要がある。第2に、民間の創意工夫を最大限発揮できるような仕組みを整備すべきである。第3に、企業側に過度にリスクを負担させることのないよう、発注者と受注者が公平、公正なかたちでリスクを分担すべきである。