130名余が参加した「CFRとの対話」 |
経済広報センター(御手洗冨士夫会長)は10月16日、東京・大手町の経団連会館でシンポジウム「CFR(米外交問題評議会)との対話」を開催した。CFR( Council on Foreign Relations )のリチャード・ハース理事長とシーラ・A・スミス上級研究員が講演を行った後、外交評論家の岡本行夫氏がコメントするとともに、春原剛日本経済新聞社編集委員の司会でディスカッションを行った。参加者は130名余り。
20世紀が大国間の競争の時代であったとすれば、21世紀はグローバルチャレンジの時代となろう。今後はテロや気候変動など単独では解決できない問題に多く直面するだろう。しかし、国連やIAEA(国際原子力機関)などテロや気候変動問題に対応することとなっている既存の国際機関や国際的枠組みは、必ずしも時代の要請に応えるものとなっておらず、こうした課題に適切に対処できていない。
今後は、非公式で柔軟な多国間主義が必要になるのではないか。例えば、ある問題を解決する場合、解決できる箇所を切り分け、部分的に合意できるところを積み上げていくことも必要となろう。
日米は同盟関係にとどまらず、それぞれがあらゆる課題に対処できるよう、国内政治を基盤に関連する能力を高め、効果的なパートナーであり続ける道を模索すべきだ。
日本の新政権は外交・安全保障の優先順位を、米国も理解できるようにすることが重要である。
鳩山内閣の掲げる「対等な日米関係」を尊重するが、「対等」の定義について米国側も理解できるようにしなければならない。鳩山首相の提唱する東アジア共同体については、地域の安定に貢献する点で重要であり、対米関係と二律背反ではないと解釈している。
21世紀がグローバルチャレンジの時代だという意見に異存ない。日本は国際問題に緊迫感を持つ必要があり、米国との間で認識の差があってはならない。
日米同盟について、鳩山内閣の「対等」と米国側のそれとは若干ズレがあり、今後はこれを埋めていかねばならない。
東アジア共同体については、政治的な統合までいきなり進めるのではなく、それぞれの国との関係を個別に改善していくことが日本にとっては現実的ではないかと考える。