日本経団連は6日、道州制推進委員会(中村邦夫委員長、池田弘一共同委員長)を開催し、総務省の椎川忍地域力創造審議官から、地域力創造と定住自立圏構想の推進について説明を聞くとともに意見交換を行った。椎川審議官の説明の概要は次のとおり。
総務省では、昨年7月に、地域力創造本部を設置するなど、「地域力創造」を重要政策の一つに掲げている。そのための施策として、定住自立圏構想の推進、地域人材力活性化事業、過疎など条件不利地域の振興、地域コミュニティーの再生、移住・交流の推進、地域情報化の推進などの取り組みを進めている。その中心となるのが、定住自立圏構想である。
2007年の年末に当時の福田総理から増田総務大臣に対して、「日本が人口減少社会に突入するにあたり、地方にもしっかりとした人口定住の核が維持されなければ、日本の将来が危ういので早々に検討せよ」との強い指示があった。それを受け、総務省に定住自立圏構想研究会を立ち上げ、関係各府省の局長も参加して、08年5月に報告書をまとめた。さらに、7月に地域力創造本部を設置し、今年4月に、「定住自立圏構想推進要綱」を施行し、定住自立圏構想の全国展開を開始した。
定住自立圏構想とは、地方において、都市は都市らしく、農山漁村は農山漁村らしく、連携協力しながら、住民生活の機能の向上を目指して人口定住の核をつくるための広域連携の仕掛けである。市町村が広域連携を行う手段として、市町村合併や広域連合、一部事務組合などがあるが、市町村合併については県境を超えた合併は都道府県の反対もあり難しい。広域連合や一部事務組合については、新たに首長や議会の多数決で物事を決定するため、個々の自治体に拒否権がなく、離脱も自由ではないといった問題がある。
一方、定住自立圏は「中心市」と周辺市町村が1対1で協定を結ぶもので、各市町村に拒否権があり、うまくいかなければ協定自体破棄できる。国への申請や承認も必要としない簡素で弾力的かつ分権的な方式である。
「中心市」とは、生活に必要な都市機能について、一定の集積がある都市で、人口が少なくとも4万人超、昼夜間人口比率1以上を要件としている。これに該当する市は全国で243ある。
定住自立圏に対しては、総務省をはじめ、各府省が連携して支援策を講じることとしているが、その他の地域の広域的市町村連携についても、住民生活の向上などの観点から取り組んでいる場合、実態に応じた支援を検討していきたいと考えている。
当日は、椎川審議官の説明に続き、提言案「改めて道州制の早期実現を求める」の審議が行われ、委員会として了承した。