日本経団連の環境安全委員会地球環境部会(猪野博行部会長)では、北極圏のオーロラ研究の世界的第一人者であるアラスカ大学の赤祖父俊一名誉教授が来日した機会をとらえ、7日、東京・大手町の経団連会館で会合を開き、地球温暖化問題について説明を聴いた。説明の要旨は次のとおり。
私が名誉所長を務めるアラスカ大学国際北極圏研究センターは1999年、日米共同出資により設立された。以来、米国のNOAA(海洋大気庁)、NSF(全米科学財団)、日本のJAMSTEC(海洋研究開発機構)、JAXA(宇宙航空研究開発機構)など、両国関係機関との連携の下、北極圏の地球温暖化研究に取り組んできた。
温室効果の原理は、地球上の二酸化炭素が、赤外線を吸収して太陽光線の熱を大気中に閉じ込めるためと考えられている。
過去100年間で地球の平均気温が上昇してきたことは確かであるが、摂氏0.5〜0.6度程度である。この100年間で東京の平均気温が4度も上昇したと指摘する向きもあるが、これは地球温暖化というより、都市化によるものであり、二酸化炭素とは区別して考える必要がある。
地球の平均気温は40万年間で7〜8度変動してきた。4回の大氷河期のほか、西暦1000年頃の中世温暖期、1400〜1800年頃の小氷河期、1910〜40年の温暖化を経て、今日に至っている。
地球の二酸化炭素が増え始めたのは、第二次世界大戦後の1946年以降であるが、それ以前の150年前から、地球の平均気温は上がり続けている。
今日の温暖化は自然変動によるものであり、二酸化炭素の放出が急激に増加した1946年から始まった現象ではないと考えられるということである。
気候変動に関する政府間パネル(IPCC)は、二酸化炭素の増加が地球温暖化の原因と分析しているが、一つの仮説にすぎない。定量的な裏付けによって、仮説が正しいか否か証明すべきであるにもかかわらず、あたかも仮説が事実であるかのように考えられている。
スーパーコンピューターは、超頭脳の機械ではなく、ロボットと同じで、モデルを使って人間に教えられたとおりにしか計算できない。したがって、教えたことが間違っていれば、計算結果もおのずと誤りとなってしまう。
世界全体に占める日本の二酸化炭素排出量は4%足らずにすぎない。にもかかわらず、2020年の温室効果ガスを90年比25%削減する目標を掲げ、達成できなければ、その分は排出権を取得するため、資金拠出を強いられることになる。
私が試算したところ、過大な目標を達成するためには4兆5000億円もの資金が必要となる。科学的に十分に検証されていない仮説に惑わされ、日本国民の税金が、無駄に使われることは避けなければならない。