日本経団連の関連組織である経済広報センター(御手洗冨士夫会長)は8月27日、「少子化問題に関する意識調査」結果を発表した。それによると、わが国の児童・家族関連に対する財政投入について、87%がその投入割合を「引き上げるべき」と回答し、多くの生活者が財政投入の現状について問題があるとの認識を持っていることなどがわかった。
同調査は、少子化問題に関するわが国の現状への認識やその対策、企業のワーク・ライフ・バランスに対する取り組みへの評価などを調査したもの。インターネットで回答可能な社会広聴会員(3124人)を対象に6月に実施、2111人から回答を得た(有効回答率67.6%)。
少子化がわが国の将来に及ぼす影響について、「十分知っていた」は19%で、2割ほどの水準にとどまっている。しかし、これに「漠然と知っていた」(72%)を合わせると91%に達することから、9割以上の生活者は、少なくとも少子化が将来に何らかの影響を及ぼすという認識を有しているといえる。
政府が近年実施している少子化対策について、「内容を十分に知っている」(6%)と「聞いたことがあり、内容を少し知っている」(52%)を合わせると58%となった。政府の取り組みが、十分に浸透しているとはいい難い。
政府が発表した追加経済対策のうち、「保育サービスの充実」が68%と評価が最も高い。現在、課題となっている「待機児童」の解消など、現状の保育サービスに対するさらなる改善への期待が反映されていると考えられる。その他、「子育て世代への経済的支援」(52%)、「教育費負担の軽減」(48%)、「出産に関わる経済的支援」(47%)などが続いている。
「ワーク・ライフ・バランス」について、「内容を知っている(十分に/ある程度)」は58%。「ワーク・ライフ・バランス」を実現するために企業が行っている取り組みで最も期待するものは、「育児あるいは介護のための短時間勤務制度」(63%)が最も多く、次いで「育児・介護休業制度の充実」が54%となっている。
仕事を持つ人が、積極的に育児・介護に従事できる職場環境の整備、特に時間確保への期待が大きい。
わが国の児童・家族関連の社会支出のGDPに占める割合が、欧州諸国に比べて小規模であることについて、「認識していた(水準も含め/漠然と)」が51%となっている。
一方、児童・家族関連に対する財政投入の割合について、「引き上げるべき」との意見は87%となっている。また、財政投入割合を引き上げるべきとの意見のうち、自分自身の負担について74%が「必要であれば、負担をする」と回答している。
政府が2007年に定めた「家族の日」「家族の週間」については、全体の78%が「知らない。初めて知った」と回答している。
同調査結果の詳細は、経済広報センター国内広報部(電話03‐6741‐0021)まで。