日本経団連タイムス No.2964 (2009年8月27日)

今後のエネルギー政策の方向性で説明を受ける

−資源・エネルギー対策委員会企画部会


日本経団連は7月24日、資源・エネルギー対策委員会企画部会(渡辺康之部会長)を開催し、資源エネルギー庁の定光裕樹エネルギー戦略推進室長から、今後のエネルギー政策の方向性について説明を受けるとともに、意見交換を行った。定光室長の説明概要は以下のとおり。

1.エネルギー需給構造と今後のエネルギー政策

第二次オイルショック後の石油代替エネルギー政策推進の結果、一次エネルギーならびに発電量に占める石油の割合は大幅に低下している一方、化石燃料の割合は依然として高い。また、中国やインド等を中心とした世界のエネルギー需要の急増がエネルギーセキュリティーに対するリスクを高める要因となっている。こうしたことから、わが国のエネルギーセキュリティーの向上を図るとともに、地球温暖化対策に向けて、エネルギー供給構造の高度化((1)技術開発の推進(2)非化石エネルギーの導入拡大(3)化石資源の有効利用)を図る必要がある。そこで、今年6月の通常国会において、これらを盛り込んだ「エネルギー供給構造高度化法案」「石油代替エネルギー法(代エネ法)改正法案」が成立した。

2.省エネ・新エネ政策

部門別のエネルギー消費量の推移をみると、1990年から2007年にかけて、産業部門は横ばいだが、民生部門は3割増、運輸部門は1割増となっており、今後は、規制と支援の両面から幅広く省エネ対策を強化する必要がある。
また、太陽光、風力、バイオマス等の新エネルギーの導入は、エネルギーセキュリティー確保、地球温暖化問題への対応といった観点から重要である。特に太陽光発電は、2020年に20倍、2030年に40倍の導入量をめざす必要があることから、太陽光発電の固定価格買取制度をはじめ、税制措置、技術開発等の支援について具体的に検討する。

3.中期目標ならびに今後の国際交渉

今回発表された中期目標の05年比15%減という数字は、国内削減分だけの真水の目標であり、大変思い切った総理の決断である。また、国民へのコスト負担も大きく、今回の中期目標では可処分所得と光熱費負担を合わせると月平均で約6300円もの国民負担となる。他方、国民負担に係る世論調査結果によると、月2000円までの選択肢で回答した人が8割以上を占めており、現実とのギャップが大きい結果となっている。
国際交渉については、G8サミットのプロセスに加え、ブラジル、中国、インドも参加するMEF(エネルギーと気候に関する主要経済国フォーラム)等において、具体的な議論がどこまで進展するかがポイントとなる。わが国としては引き続き、米国、中国、インドの参加を強く求めていく。

【環境本部】
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