消費者行政について説明する野田担当相 |
日本経団連は1日、東京・大手町の経団連会館で野田聖子消費者行政推進担当大臣との懇談会を開催した。懇談会には野田大臣はじめ、田中孝文内閣府国民生活局長兼消費者庁・消費者委員会設立準備室長、松山健士内閣官房消費者行政一元化準備室長、木村茂樹同準備室参事官が、日本経団連からは、御手洗冨士夫会長、米倉弘昌評議員会議長、渡文明副会長・企業行動委員長、清水正孝副会長・経済法規委員長はじめ、評議員会副議長と企業行動委員会、経済法規委員会等の委員約150名が参加した。
冒頭、御手洗会長は、「消費者庁関連3法がめざす消費者が安心して安全で豊かな消費社会を営むことができる社会の実現に向けて、経済界としても、引き続き責任ある企業行動を推進していきたい」と述べるとともに、消費者と企業双方の発展につながるバランスの取れた政策の実現を要望し、開会のあいさつとした。
続いて、野田大臣から「消費者庁・消費者委員会の設置と消費者行政の一元化について」をテーマに、消費者庁法案成立までの経緯、消費者庁関連3法の概要、消費者庁と企業の関係、消費者教育、被害者救済制度、さらに今後の見通しについて説明を聴いた。
その後の懇談では、日本経団連側から「悪徳業者による詐欺行為など個別の事例については厳格に対応すべきであるが、そのことと、消費者団体などに新たな権限を付与することとは別問題であり、企業の健全かつ正当な事業活動にまで大きく網をかけるような仕組みとならないよう、他の法制度との整合性も踏まえながら、検討を進めてほしい」(清水副会長)、「事業者と消費者を対立的にとらえた論調も見られたが、事業者と消費者がWin‐Winの関係となるような消費者行政にするとの基本的な方向が示され、うれしく思う。さまざまな課題の検討にあたっては、消費者のみならず、開発・生産・流通などの現場の声をよくくみ取ってもらいたい」(池田弘一副議長)、「消費者が正しい知識に基づき、適切な消費行動をとることが、消費者被害を食い止める上で不可欠である。政府には、野田大臣のリーダーシップの下で、企業と消費者の懸け橋として、消費者の啓発活動に力を入れてほしい」(加藤壹康企業行動委員会共同委員長)などの発言があった。これに対し、野田大臣から以下のような回答があった。
(1)消費者庁が取り組まなければならないのは、自由の名の下にモラルなき商売をしている悪徳業者の排除である。被害者救済制度については、事業者がいたずらにコンプライアンス恐怖症に陥らず、消費者が泣き寝入りをしないよう、バランスの取れた制度をつくりたい。
(2)「消費者目線」という言葉は、消費者教育が不十分な国家にあって、軽々しく使うことは危険だと思っている。消費者庁が目線の基準をつくり、国民の目線を高めていくことが事業者がグローバルにもベネフィットが得やすくなる流れをつくることになると考えている。
(3)消費者教育を充実させることで風評被害も減らすことができる。また、マスメディアにもテレビ番組を通じた消費者教育に、積極的に取り組んでもらいたい。