日本経団連は6月23日、東京・大手町の経団連会館に金融庁総務企画局企業開示課長の三井秀範氏を招き、企業会計審議会が公表した「我が国における国際会計基準の取扱いについて(中間報告)」の説明会を開催した。
国際会計基準(IFRS)は2005年からEU域内の統一基準として適用が義務付けられたのを皮切りに、いまや100カ国を超える国が採用を決めている。世界最大の市場を抱える米国でも、昨年11月に09年度からの大企業への任意適用と、14年からの段階的な強制適用を明記したロードマップ案を公表している。このような世界的な動向を踏まえ、企業会計審議会では、昨年10月から、わが国におけるIFRSの取り扱いを議論していた。今年6月にその取りまとめとして中間報告が公表されたのを受け、IFRS適用に向けた企業の取り組みを促進するため今回の説明会を開催した。三井課長の説明概要は次のとおり。
中間報告は、12年にIFRS適用に向けた諸課題の達成状況を確認した上で、強制適用を判断し、15年または16年から強制適用するという道筋を示したもの。そのため、10年3月期から任意にIFRSによる連結財務諸表の提出を認めている。米国でもロードマップ案を公表するなど、世界の資本市場における大半がIFRSの受け入れ準備を進めている中で、日本企業や日本の資本市場の国際競争力確保などの観点から、日本企業でも将来を見据えて準備を進めていくことが重要である。
任意適用の対象となる企業は、案の段階で挙げていた発行登録制度の周知性要件を満たすものを外し、国際的な財務・事業活動を行っている上場企業等とした。中間報告案では、「事業」活動という文言を含んでいなかったが、周知性要件を外し、国際的な資金調達を目的に、海外でIFRSに従った法定開示を行っていることに加えて、国際的な事業活動を行っている企業という要件(外国に重要な連結子会社を有していること等)を追加した。正式には、連結財務諸表規則の改正案をパブリックコメントに付した上で、それを踏まえながら考えていく。
昨年9月のリーマンショック以降、会計は激動の時代を歩んでいる。欧米における突然の会計基準の変更、また、首脳レベル、金融監督当局においても、短期間で会計基準の改善を求める動きがある。国際的な会計基準が動くと、日本が適用しているか否かにかかわらず、大きな影響を受ける。このような中で、日本企業の競争力を確保していくためには、IFRSの適用を遅らせるより、むしろ早めるべきとの意見が多く、それを取りまとめたのが今回の中間報告である。これを出発点に産業界と議論を深め、前に進めていきたい。
日本経団連では、今後、IFRSの円滑な導入に向けて、任意適用を検討している企業を中心に実務的な検討を開始する予定である。