ズィーバーリー外相(右)と握手する渡副会長 |
日本経団連は、18日、東京・大手町の経団連会館で、渡文明副会長を座長として、イラクのホーシヤール・ズィーバーリー外務大臣との懇談会を開催した。当日は、同外相よりイラクの政治、経済情勢について説明を聴くとともに、意見交換を行った。ズィーバーリー外務大臣の発言内容は以下のとおり。
2005年11月以来、ほぼ3年半ぶりに日本経団連を訪問できて嬉しく思う。前回は、移行政府の外務大臣として、政治的課題、治安問題、国際情勢等、直面している困難について率直に説明申し上げた。今回は、イラクの将来について、自信をもってお話しできる。
イラクの治安状況は、多国籍軍、米軍等の貢献により大いに改善しており、最近ではバグダッドのみならず、地方でも治安が安定してきている。米国にオバマ政権が発足し、米軍のイラク撤退に合意できたことも好材料となっている。米軍は6月末までに都市部から撤退し、2011年までに完全撤退することになっており、この合意は誠実に実行されている。イラクの警察、軍、情報機関の能力も着実に向上しており、米軍撤退後の治安維持を担うことができる。
06年から07年にかけて、宗派間の対立が激化する懸念があったが、現在では国家分裂の危機は克服されている。憲法や連邦制のあり方について、宗派間で意見の違いはあるが、健全なかたちで議論が行われている。10年1月には、スンニ派、シーア派、クルド人のすべてが参加して総選挙が行われる予定である。
今年1月、「日本国政府とイラク共和国政府の間の包括的パートナーシップ構築の宣言」(注)に署名した。これは、両国間協力のロードマップである。日本には、早い段階からイラクの復興支援にご尽力いただいており、継続的な貢献に感謝している。現在、ドイツ、フランス、中国、ロシアをはじめとする各国の企業が多数イラクで活動しており、日本企業にもぜひ進出していただきたい。今月末には、石油大臣が民間企業へのライセンシングの第1弾を決定する予定である。引き続き、日本企業の前向きな対応に期待したい。