日本経団連の関連組織である経済広報センター(御手洗冨士夫会長)は5月26日、「第12回生活者の“企業観”に関するアンケート」調査結果を発表した。同調査は社会が企業をどのように見ているか調査することを目的に、1997年以降毎年、全国のさまざまな職種・世代で構成される「社会広聴会員」を対象に実施しているもの。今回の調査は、インターネットで回答可能な会員を対象に2月に実施、2078名から回答を得た(有効回答率66.6%)。調査結果の概要は次のとおり。
企業が果たす役割や責任については、「本業に徹する(優れた商品・サービス・技術などをより安く提供、安全・安心の確保)」ことが「非常に重要」との回答が83%となった。そのほか、非常に重要とされた項目としては、「不測の事態が発生した際の的確な情報発信などの対応」(62%)、「社会倫理に則した企業倫理の確立・順守」(60%)などが挙がった。
生活者の企業活動に対する信頼度・信頼感については「信頼できる」「ある程度信頼できる」との肯定的な評価が39%となった一方、「あまり信頼できない」「信頼できない」との否定的な評価は24%となった。
企業を評価する際の情報として、発信者ごとに信用度を聞いたところ、最も信用されているのは「企業からの発信(企業のホームページ、アニュアルレポート等)」であり、「信用する」「ある程度信用する」を合わせた肯定的な評価は80%に達した。また、「メディアからの発信(ニュースや記事など報道)」(75%)、「専門家(教授、有識者、評論家等)のコメントや評価」(65%)などが続いている。
生活者が考える企業不祥事の原因としては「経営者の姿勢(倫理観)や経営方針に問題がある」が最も多く76%である。2006年度(64%)、07年度(69%)の調査でも原因の第1位として挙げられたが、この2年間で12ポイント増加した。次いで「企業の管理(社員の教育不足やコンプライアンス管理の不徹底など)に問題がある」が64%となり、生活者は企業不祥事の原因として経営者の責任を重くみている。不祥事後の対応については、「具体的な被害拡大の防止策を行っている」(48%)ことが最も高く評価された。
企業不祥事に関する昨今のマスコミ報道については、「『一過性』の報道でなく、長期的にじっくりと検証し報道してほしい」(68%)が昨年度と同様最も高くなった。次いで「一方的な意見のみでなく、公平な立場で客観的に情報提供してほしい」(56%)、「不祥事に関する報道の扱いは大きくなりがちだが、生活への影響などで軽重を付け、『集中豪雨』的な報道はやめてほしい」(52%)となっており、生活者は、一過性の報道や過剰な報道などに対し、批判的である。
同調査の詳細は、経済広報センター国内広報部(電話03‐6741‐0021)まで。