日本経団連は14日、提言「よりよいコーポレート・ガバナンスをめざして(主要論点の中間整理)」を取りまとめ公表した。
コーポレート・ガバナンスとは、企業の不正行為の防止と競争力・収益力の向上という2つの観点から、長期的な企業価値の増大に向けた企業経営の仕組みをいかに構築するかという問題であり、最適とされる型は存在しない。コーポレート・ガバナンスの向上については、さまざまなステークホルダーの声を踏まえて各企業が多様かつ自主的な取り組みを実施できるような柔軟性の高い枠組みが必要であり、形式ではなく、実質に着目し、実効性のある取り組みが求められる。そうした基本的考え方に基づき、提言では次の6項目についての考え方を示した。
社外取締役がいさえすれば、ガバナンスとして優れているという形式論は無意味である。ガバナンスのあり方は、各企業の自主的な選択が認められるものとすべきである。適正な監督を行う識見や能力を備えた取締役がいるかどうか(取締役の質)については、開示情報に基づいて判断されるものであるべきである。
社外役員のあり方については、形式的要件を厳格化するのではなく、多様性が認められるべきであり、充実した開示によって、株主の判断に委ねるべきである。
現行法制上、監査役には十分な権限が与えられている。監査役が既に与えられている権能を十分に発揮できるようにするために、体制整備や社内連携の強化等に取締役会と監査役会が協調して取り組むなどの、一層の企業努力が必要である。
監査役に会計監査人の選任議案や報酬を決定するという業務執行権限を与えることとなれば、監査役は経営陣から独立の存在として監督機能を果たすという制度趣旨に反し、業務執行の意思決定の二元化をもたらしかねない。
企業が自主的に取り組んでいることは評価する。ただし、実際の対応としては、個別の実態に即した各企業の判断に委ねるべきである。
発行会社としてのアカウンタビリティを充実させ、既存株主の権利が不当に毀損されないよう、配慮する必要がある。
なお、提言全文は日本経団連ホームページ(URL=http://www.keidanren.or.jp/japanese/policy/2009/038.pdf)を参照のこと。