「日本経団連フォーラム21」第19期生28名の修了式が11日、東京・大手町の経団連会館で行われた。同フォーラムは次代の産業界を担うさまざまな企業の役員や部長クラスのメンバーが集い、多くの講座を通じて研鑽を深める通年のコースで、1990年にスタートしたものである。
あいさつする御手洗チーフアドバイザー |
修了式では、まず同フォーラムのチーフアドバイザーを務める御手洗冨士夫日本経団連会長が、メンバーに対し、「いま世界は100年に一度といわれる経済危機の状況にあり、日本でも景気後退がこれまでをはるかに上回る規模とスピードで進行し、特に雇用への影響が顕著であるが、こうしたときにこそ日本が世界に誇る企業力の真価が問われている。その企業力を支える基盤となるのが、経営リーダーとして未来を担う有能な人材である。本日、こうしてフォーラム21を無事に修了された皆さんには、単に一企業にとどまらず、自らが日本経済の一翼を担っているという強い気概を持って、これからも自己研鑽に励んでほしい。また、ここで得られた人的ネットワークも今後ぜひ大事にしていただきたい」とあいさつした。
続いて、茂木賢三郎アドバイザー(キッコーマン副会長)が「ここ10〜15年、経済社会運営・企業経営のパラダイムにおいて、『振り子の振れ過ぎ現象』が起きているのではないかと心配している。その一つが経済運営のパラダイムとしての市場原理、企業経営のパラダイムとしてのコーポレートガバナンスである。企業経営者の役割は自社の株価を高くして株主に奉仕することであり、それのみが経営者の務めであるかのような風潮が出てきている。私は明らかに行き過ぎがあったと思う」と述べた上で、昨年秋に刊行された、『資本主義はなぜ自壊したのか』(中谷巌・経済学者)、『村田良平回顧録』(村田良平・元外務次官、駐米大使)の2冊の本を紹介した。
その後、御手洗チーフアドバイザーからメンバー一人ひとりに修了証書が手渡された。最後に、各メンバーが1年間の講座を振り返り、「これからの自分の企業活動のよりどころとなる大切な部分を学ばせていただいた」「一回一回の講義に印象に残る言葉があった」「昨年夏の客船飛鳥での合宿は大変よい思い出になった」「歴史観、倫理観、世界観をいろいろな先生から勉強させていただいた」などの感想を述べ、修了式は終了した。
その後、懇親会が開催され、19期のメンバーは幹事を中心に今後も交流を深めていくことを誓い合い、散会となった。
なお、2009年度第20期は5月に開講する。