日本経団連は4日、東京・大手町の経団連会館に、米国経済に精通するエコノミストとして著名なディシジョン・エコノミクス・インコーポレーテッドのアレン・サイナイ社長兼チーフ・グローバル・エコノミストを招き、オバマ政権発足後の米国経済の現状と今後の展望に関する懇談会を開催した。
サイナイ氏は冒頭、長く、深刻な景気後退と金融危機に直面する米国経済の現状について触れ、金融機関の信用収縮やバランスシートの毀損、株式相場の下落、資産の目減りなどにより、金融機関が実体経済に十分な信用を供与できないことが、景気循環プロセスを一層悪化させていると指摘した。
続いて、米国経済の急激な落ち込みを招いた最大の要因として、これまで世界経済をけん引してきた米国の旺盛な個人消費が、大幅に冷え込んでいる点を挙げ、たとえ今後、景気が回復に向かったとしても、米国民のローンを前提とした大量消費型の消費スタイルは、危機前の状態に戻ることはないとして、米国民の消費行動に長期的なトレンド・シフトが起きている点を強調した。
最後に、現在、米国議会で審議されている景気対策法案(同法案は、既に議会で承認され、17日に大統領の署名・発効済み)に関しては、一定の評価を与えつつも、政府主導によるプログラムであることから、消費者や企業への十分な波及効果をもたらさない可能性を指摘するとともに、日本企業に対しては、金融危機後、これまでの米国の経済状況が一変していることを認識した上で、対米ビジネス戦略を再構築する必要があると述べた。