日本経団連は1月27日、東京・大手町の経団連会館で住宅政策委員会(渡文明委員長)を開催し、与党の平成21年度税制改正大綱に盛り込まれた住宅税制改正の概要と今後の対応について、国土交通省住宅局の佐々木基官房審議官、石田優住宅企画官から説明を聴いた。佐々木審議官は、住宅ローン減税の大幅拡充、住宅投資減税の創設に経済界が果たした役割を高く評価し、これらの税制が国民生活の向上、経済状況の回復に資するよう、住宅市場活性化策を講じていく意向を表明した。説明要旨は次のとおり。
一般住宅については借入限度額5000万円の1%を10年間で最大500万円、長期優良住宅については借入限度額5000万円の1.2%を10年間で最大600万円控除する。現行では減税の対象は所得税のみであるが、改正後は9万7500円と所得税額のうち低い方を上限として、個人住民税も対象となる。これにより、最も住宅ローン減税を活用している年収500〜600万円前後の層は現行制度より減税額が100万円近く増加する。
長期優良住宅を対象とする住宅投資減税は、長期優良住宅にするために一般の住宅より高くなった「性能強化費用」の1000万円を限度として、その10%、最大100万円を所得税から控除する。性能強化費用は、不必要にぜいたくなものに対する支出を減税の対象から除くために考案された新しいかたちの課税標準であり、政令で構造別に平方メートル当たりの標準価額を定める。減税額を所得税から控除しきれない場合、翌年に繰り越すことが可能である。住宅ローン減税と異なり、住宅投資減税は居住用資産の買い換え特例と併用可能なので、団塊の世代を中心とした二次取得者にこれを活用して良質な住宅を取得してもらい、住宅ストックの質の向上につながることを期待している。
ローン非利用のケースが多いリフォームに、投資型減税が導入される。省エネ改修、バリアフリー改修について、上限200万円の工事費用の10%、最大20万円(太陽光パネル取り付けの場合30万円)を控除する。省エネ改修とバリアフリー改修を同時に行った場合は、合わせて20万円までとなる。ローン型の省エネ・バリアフリー改修減税の適用期限も5年延長されるが、ローン型と投資型の減税の併用はできない。投資型の耐震改修減税の適用期限も5年延長され、耐震診断のみが補助対象となる自治体でも適用可能となる。
昨年12月5日の公布から6カ月以内の施行日を政令で定める。なるべく早く施行したい。長期優良住宅の認定基準については、メーカーが設計準備に着手できるよう、早めに固めたいと考えており、現在、パブリックコメントを募集するなど担当部署で準備を進めている。