日本経団連タイムス No.2936 (2009年1月29日)

「地方自治体の手続きの電子化に関するアンケート」調査結果発表

−認知度高いが進まぬ利用/経済広報センター


経済広報センター(御手洗冨士夫会長)は7日、「地方自治体の手続きの電子化に関するアンケート」調査結果を発表した。その結果、9割以上が地方自治体のホームページ開設の有無を認識しているものの、インターネットを通じた諸手続きの利用者は26%と利用が進んでおらず、証明書交付申請などは窓口など従来の方法を主体に行われていることなどがわかった。

同調査は、インターネットが地域でどのように活用されているかという観点から、特に地方自治体の手続きの電子化に関する地域住民の認知度や利用方法などを調査したもの。経済広報センターが全国に組織している「eネット社会広聴会員」3082人を対象に9月にインターネットを通じて実施、有効回答数は2174人だった(有効回答率70.5%)。

調査結果の概要は次のとおり。

居住地の地方自治体(主に役所など)のホームページ開設有無の認知度は91%に上っている。一方、ここ5年くらいの間、地方自治体の届け出、申請、手続きをインターネット経由で行ったことがある人は26%である。「インターネット以外の手続きのみ」は67%で、「手続きそのものを行っていない」との回答は7%であった。

インターネットを通じた手続きで最も利用が多いのは、「図書館利用関連」で55%。次いで「施設利用・イベント参加などの申し込み」(38%)、「住まい・環境関連(粗大ごみ廃棄申請、リサイクルなど)」(20%)が続き、比較的身近で単純な手続きの利用度が高いといえる。

インターネットを通じた手続きへの評価は「大変よい」が49%と、約半数が満足している。「どちらかというとよい」(47%)を合わせると96%が肯定的な評価をしている。また、インターネット手続きの利点としては、「自由な時間に手続きができる」が88%で最も多く、「時間(待ち時間、往復時間)が短縮できる」(83%)、次いで「コスト(交通費など)が削減できる」(47%)となっている。

インターネットを通じた手続きを行わない、またはそれ以外の手続きと使い分けをしている理由として、最も多いのは「インターネットで手続きが可能かどうか不明だから」が48%、次いで「インターネットで扱っていないから」(28%)となっている。各自治体の積極的な告知、および手続きの電子化の促進が望まれているといえる。

「今後」および「引き続き」利用したいインターネット手続きは「証明書など(住民票、戸籍謄本、印鑑登録証明書など)の交付申請」が69%で最も多く、「施設利用・イベント参加などの申し込み」(60%)、「図書館利用関連」(52%)と続くが、この2項目は「現在利用しているインターネット手続き」でも利用率が高くなっている。

手続きの電子化については「進めてほしい(進めてほしい/どちらかといえば)」は91%に上っており、多くの人が電子化に肯定的である。また、住基カード(地域ICカード含む)は28%が所持している。世代が上がるにつれて住基カードの所持率も上がる傾向にある。

一方、所持している人のうち「使ったことがない」は54%で、各自治体が使用方法や付加機能などを積極的に説明することにより、利用率も上がると考えられる。

Copyright © Nippon Keidanren