日本経団連タイムス No.2934 (2009年1月15日)

創立30周年記念しシンポジウム開催

−今後10年の企業広報の進むべき道展望/経済広報センター


経済広報センター(御手洗冨士夫会長)は2008年11月30日に創立30周年を迎え、12月19日に記念シンポジウムを東京・大手町の経団連会館で開催した。当日は企業・報道関係者など約200人が参加した。

冒頭、古川一夫副会長が主催者を代表してあいさつし、関係者に謝辞を述べるとともに、経済広報センターの歩みと活動を振り返り、社会と企業との双方向コミュニケーションに一層注力すると述べた。

シンポジウムではまず、コマツの坂根正弘会長が「コマツの経営構造改革とコミュニケーション」と題する基調講演を行った。坂根氏は、コマツの概要と世界経済の展望に触れ、これを踏まえて同社の改革について語った。その上で、同社の価値観を明文化した「コマツウェイ」、および社員を含むステークホルダーとのコミュニケーションについて説明した。

「進化する、企業とコミュニケーション」めぐり意見交換

続くパネルディスカッション「進化する、企業とコミュニケーション」では、藤沢久美シンクタンク・ソフィアバンク副代表を進行役に、伊藤邦雄一橋大学大学院教授、岩田公雄讀賣テレビ放送報道局解説委員長、中井昌幸トヨタ自動車常務役員、中川俊一花王常務執行役員が、「これからの10年」の視点から、経営環境と企業の変化、およびこの変化に対応した企業広報とメディアの進化について意見を交換した。

経営環境と企業および企業広報の変化について中井氏は、「100年に一度のパラダイム転換期にあたり、トヨタの企業広報のテーマはグローバル広報および情報力の強化と、世界で共有できる企業の価値観の創造とした」などと語った。
中川氏は、「この10年でメディアが大きく変化し、対応する社員の重要性が増す中で、社内コミュニケーションが重要になっている」として、同社の「花王ウェイ」の策定と浸透の取り組みなどを紹介した。

一方、岩田氏はメディアの立場から「既存のメディアとネット媒体は共存が可能」と分析し、企業には自ら積極的に開示する姿勢を求めた。

こうした発表を踏まえた上で伊藤氏は、企業のCSRやIRなどの情報開示が大きく進歩したことを評価し、今後さらに企業のコミュニケーションの重要性が増大すると強調した。

最後に各パネリストから参加者に、「広報パーソンは社内のことを何でも知っているプロフェッショナルとして能力向上をめざそう」(中川氏)、「前向きな批判をしてくれる人が財産。厳しい記者が広報パーソンを育て、会社を育てる」(中井氏)、「記者も企業も安全で良い社会をつくりたい点は同じ。互いに緊張感を持ってやっていこう」(岩田氏)、「広報に携わる人間に21世紀型のパラダイムづくりを期待する」(伊藤氏)、「スーパージェネラリストである広報パーソンが全体最適な企業経営をリードする」(藤沢氏)といったメッセージが送られ、シンポジウムを締めくくった。パネルディスカッションに引き続きパーティーが行われ、御手洗会長があいさつした。

Copyright © Nippon Keidanren