日本経団連事業サービスの社内広報センターは10、11日開催の第47回全国社内広報大会において、2008年度「日本経団連推薦社内報・推薦映像社内報」の入賞作品の表彰を行った。
08年度「日本経団連推薦社内報」選定制度には、企業・団体・事業所から208作品の応募があり、第1次・第2次審査の結果、別掲のとおり「最優秀賞」1作品、「優秀賞」3作品、「総合賞」24作品、「特別賞」12作品を選定した。
今回の応募作品を見ると、社内報のレベルは着実に向上している。内容面、ビジュアル面のいずれにおいてもそれはいえる。特徴としては、グループ報の性格が強くなる一方で、環境や法律の順守に関する企画が増え、社会とかかわり合うテーマにも積極的に踏み込むようになってきている。それだけ社内報の存在意義が大きくなったといえる。
反面、新たな課題も顕在化してきた。さらに、従来からの問題が依然として解決されないままに残ってもいることも確かである。
新たな課題としては、社内報にその企業の匂いなり、カラーがなくなってきているということ。これは社風とか、歴史、あるいは会社の現状をよく知らずに取材し、記事にしている結果からきていると思われる。また内容や展開、レイアウトの似た社内報が多くなっている。
その要因はいくつか挙げられるが、編集の外注化がその一つではないか。企業のことをよく知らない人たちが、レイアウトだけでなく、企画から取材まで行う。見た目は読みやすく、内容も充実してきたように映るが、いくら高価に見える衣服でも好みに合わなければ飽きられるように、いずれ読者は離れていくだろう。
だからといって、外注化を否定するつもりもないし、その波はさらに広がるだろう。それだけに、社内報の編集を任せられた人は、その企業の代表として、自社の現状や風土、特質を最大限生かすよう、外部の専門家をリードし、使いこなさなければならない。その意味では、外注化によって、編集者の真の実力、本物であるかどうかが問われている。
次に、依然として解決されずに残っている課題は、編集方針に経営方針や経営課題の共有化をうたいながら、内容となると、経営者と一般従業員とのやり取りが何もないという点である。互いにキャッチボールをせずに、方針の共有化は難しいことはだれもが認めるところである。これらの点をいま一度よく考え、編集しなければならない。
今回、入賞した作品は、以上の点をクリアしたものが多いことはいうまでもない。
一方、08年度「日本経団連推薦映像社内報」選定制度においては、32作品の応募のうち、第1次・第2次審査を経て、別掲のとおり「優秀賞」3作品、「総合賞」2作品、「特別賞」4作品を選んだ。
入賞作品を見ると、テーマ映像はもちろん、ニュース映像でも明確な制作意図を持ち、従業員に伝えたいテーマを明確にした作品が上位を占めている。ニュース映像でも事実を伝えるとともに、その映像を見ることで何が視聴者の心に残り、役立つかを大切にしている。単なる情報提供だけにとどめていない。
映像社内報であるから、映像でまずどのようにアピールするかという絵づくりをしっかり絞り込むことが重要である。ナレーション、テロップ、フリップは映像を補う手段と考えるようにしたい。撮影時もテーマがはっきりしていれば、それに沿った撮り方ができる。ねらいもなく、ただカメラを回しているだけでは訴求力に欠ける映像になってしまい、見る人を引き付けない。
今年、目立ったのが、応募1作品当たりの時間が短かったことである。ネット配信による視聴環境の変化、業務の多忙の中での視聴率アップの要請などが起因していると思われるが、4分30秒の最短を筆頭に、多くが15分前後と集中して視聴できる時間内に収めようと工夫している。個人視聴の増加は、集団視聴によるコミュニケーションアップのツールの役割に変化をもたらしているが、映像づくりの原点に立ち返って、絵づくりをしっかりと行うことで、コミュニケーション向上と輪の広がりは可能である。
優秀賞に入選した3作品は、ニュース映像+テーマ映像、テーマ映像、自社制作によるニュース映像+テーマ映像と、映像社内報の基本パターンであり、それぞれ特色のある作品に仕上がっている。その意味で、映像社内報づくりの参考として大いに役立つだろう。