日本経団連タイムス No.2930 (2008年11月27日)

「管理監督者」の範囲

−留意点の説明を聴く/労働法規委員会


日本経団連の労働法規委員会(三浦惺委員長)は18日、東京・大手町の経団連会館で会合を開催し、経営法曹会議常任幹事の中山慈夫弁護士(中山・男澤法律事務所)から「『管理監督者』の範囲」に関する留意点について説明を聴いた。

中山弁護士は、労働基準法制定の1947年当時から現在に至るまで、産業構造が大きく変化していく中で、管理監督者の対象となる従業員の線引きが非常に難しくなっており、いわゆる「名ばかり管理職問題」の是正に向けた労働基準監督署の是正勧告が増えていることを紹介した。

その上で、労働基準法における管理監督者の定義や、なぜ管理監督者が法定労働時間の対象から除外されているのかについて解説を加えるとともに、管理監督者についての裁判所や行政の判断基準について、判例や通達などの具体例をもとに紹介。管理監督者かどうかの判断は企業内での実態を見ながら行うものの、裁判所と行政の判断基準はおおむね、(1)労務管理上、経営者と一体的な立場にあり、一定の裁量権限と責任を有していること(2)勤務時間についてある程度の自由裁量を有すること(3)賃金等の待遇面で一般労働者と比べ、優遇措置(管理職手当等)が講じられていること――の3点で一致していると説明した。

その上で、各企業において、管理監督者かどうかの再検討をする際には、これらの3点を、(1)業務内容・責任の範囲(2)出退勤の裁量の有無(3)手当・年収額――の面から確認するとともに、併せて企業内における管理監督者の割合や管理監督者の範囲についての労使の対話や合意の有無についても確認すべきと説明した。仮に、管理監督者の範囲に問題があった場合については、労働基準法に対応した管理監督者の線引きをすることに加えて、過去と将来の残業代への対応が必要になることを指摘した。

【労政第二本部労働基準担当】
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