日本経団連タイムス No.2929 (2008年11月20日)

排出量取引の国内統合市場の試行的実施に関する説明会開催

−政府から概要を聴き質疑


日本経団連は12日、東京・大手町の経団連会館で排出量取引の国内統合市場の試行的実施に関する説明会を開催した。当日は会員企業から350人余りが出席、政府(内閣官房、経済産業省、環境省)から、10月に参加者募集が開始された排出量取引の国内統合市場の試行的実施の概要について説明を聴いた上、質疑を行った。
政府の説明概要は以下のとおり。

今年6月の「福田ビジョン」に基づき、排出量取引の国内統合市場の試行的実施を開始することが表明され、この点については7月に閣議決定された「低炭素社会づくり行動計画」にも盛り込まれた。以来、制度設計を進めてきたが、10月21日の地球温暖化対策推進本部において制度の内容を決定し、参加者の募集を開始した。試行にあたっては、実際の削減につながるルール、マネーゲームが排除される実需に基づいた取引市場の構築をめざす。また、今般の試行的実施は、仮に本格導入する場合に必要となる条件を明らかにすることを念頭に置いており、現段階で本格導入を前提とするものではない。

排出量取引の国内統合市場の試行的実施への参加主体は事業所、企業、あるいは企業グループであり、エネルギー起源CO2の排出枠を取引の対象とする。

排出削減目標は参加主体が自主的に設定するものとし、総量ベースでも、原単位ベースでも可能である。ただし、甘い目標を設定することで、安易に売却可能な余剰排出枠が生じることを防止すべく、参加者の直近の実績、あるいは環境自主行動計画の目標または実績のうち、いずれか高い水準以上を目標とすることが求められる。排出削減目標は、参加主体が、所管省庁を通じて政府の運営事務局に申請し、その妥当性について審査を受ける。また、環境自主行動計画の場合と同様、関係審議会における検証の対象となる。

参加主体は、目標を超過達成した場合、相当分の排出枠をクレジットとして売却でき、逆に目標を達成できなかった場合は排出枠を購入しなければならない。なお、マネーゲームを排除し実需に基づいた取引を行う観点から、原単位目標を設定した場合、事前取引は認められず、事後的に目標と実績の差分を清算する。総量目標を設定した場合、事前取引も可能であるが、安易な売り過ぎを防止すべく、排出枠の9割については取引対象にすることができない。

目標の達成確認は、環境自主行動計画の評価・検証と同じプロセスを活用する。ただし、排出枠をクレジットとして売却する場合、第三者機関の検証が必要となる。

今後、12月中旬まで参加者を集中的に募集し、来年8月末に前年度の排出量の報告を締め切り、11月から12月を目途に目標の達成を確認するというスケジュールを予定している。

【産業第三本部環境担当】
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