日本経団連の日本ロシア経済委員会(岡素之委員長)は21日、東京・大手町の経団連会館でロシアのヴィクトル・B・フリステンコ産業貿易大臣との懇談会を開催、日本側から同委員会幹部ら約30名が出席した。フリステンコ大臣の発言要旨は次のとおり。
日本は、ロシアにとって重要な貿易相手であり、今後も変わらずそうあり続ける。われわれは、ここ数年の日ロ間の貿易拡大を高く評価している。国際的な金融危機は、日ロ経済関係を劇的に変化させるほどの悪影響は与えないだろう。なぜなら、ロシアの金融市場は、ロシア経済のファンダメンタルズを必ずしも十分に反映していないからである。日ロ両国の相互補完的な関係の重要性はこれまで以上に高まっており、両国は最適水準の関係構築をめざしていくべきである。国際金融情勢は、日ロ関係に新たな課題とともに、新たな協力の可能性を提示している。この中では特に、金融分野における相互協力の重要性が一段と増している。
エネルギー分野は日ロ間の協力分野として最も重要である。ロシア政府は、東シベリア・太平洋パイプラインの建設をはじめとする大規模プロジェクトの早期完成をめざしており、日本企業には、ガス化学、エネルギー効率の向上などに関連する投資や技術協力を期待している。
加えて、原子力の平和利用に関する協力は非常に有望である。既に日本の原子力発電所で利用される核燃料の15%はロシアから供給されている。
また、極東地域の開発における協力の拡大にも大いに期待している。同地域の発展のため、政府予算から2013年までに300億ドルが拠出される。特に、周辺国を結ぶ輸送インフラの整備を最も重視しており、今後はシベリア横断鉄道を国際的な輸送回廊として活用すべく、総額40億ドルを投じる計画である。
さらに、豊富な森林資源を背景とした林業分野において、木材加工を行う日ロ合弁企業の設立を促進していきたい。
自動車分野は、近年の日ロ間の協力拡大が如実に現われた分野である。次々に現地工場が建設されるなど、日本企業はロシアの自動車産業において新たなページを開きつつある。金融危機により、世界の自動車産業は建設業界に次いで打撃を受けているが、ロシア政府は、需要の減速をはじめとしたリスクの抑制策として、政府調達の強化、リース事業に対する支援等を検討している。今後は、自動車部品産業の協力拡大を図り、現地生産化を推進していきたい。
ロシア政府としては、今後、ハイテク産業に外国企業を積極的に誘致し、高付加価値製品の生産を活性化させたいと考えている。世界でも比肩するものがない高水準の製品生産を促すため、同分野における支援策を拡充させていく。