日本経団連タイムス No.2922 (2008年9月25日)

第9回日本ロシア経済合同会議

−サンクトペテルブルクで開催/極東・東シベリア開発、日ロ協力の推進で一致


日本経団連の日本ロシア経済委員会(岡素之委員長)は5日、ロシア・サンクトペテルブルクで第9回日本ロシア経済合同会議を開催した。日本側からは約70名、ロシア側からは、ロシア政府関係者および対日経済関係発展国家委員会(委員長=ショーヒン・ロシア産業家企業家連盟会長)の会員を中心に約40名が参加し、日ロ両委員長による共同議長の下、活発な意見交換が行われた。

■ 極東・東シベリア開発の推進

今回の合同会議では、まず、極東・東シベリアの開発が、日本を含めたアジア太平洋地域全体にとって重要との認識に基づき、最初の議題として取り上げられた。ロシア政府は昨年、「2013年までの極東・ザバイカル発展プログラム」を策定しており、同プログラムの実施における日ロ協力の進め方について議論が進められた。

この中で日本側からは、同地域に豊富に埋蔵する石油、天然ガス、石炭等の天然資源の開発に関して、既に始動している投資プロジェクトの確実な履行をロシア側に求めた上で、プログラムに列挙された個々のプロジェクトに関する詳細な情報が明らかでないとして、具体的計画に関する質問が相次いだ。これに対し、ロシア側からは、優先投資プロジェクトについては、既に時期や投資額が公表されているが、必要があれば、ショーヒン委員長を通じ、同プログラムの検討を行う政府委員会の委員長に任命されたシュヴァロフ第一副首相に質問を取り次ぐことができるとの説明があった。

また、日本側から、シベリア鉄道等を利用した陸上輸送は、海上輸送に比べて輸送期間の面で優位性があるものの安定しておらず、また運賃が上昇していることもデメリットになっているとして、一層のインフラ整備等を求める意見が多く出された。

さらに、ロシア側からは、極東・東シベリア地域におけるイノベーション促進の観点から、日本企業が有する高度な製造・加工技術の移転に強い期待が示された。これらの議論を通じ、両国経済界は、極東・東シベリア開発に関する日ロ協力を着実に推進していくことで意見が一致した。

■ ビジネス環境整備のため日ロ経済界の協力を強化

続いて、今年4月末に制定、施行された戦略的分野への外資規制に関する法律について、ロシア天然資源省ならびに反独占庁幹部から、同法の趣旨と運用方針について説明を受けた。この中でロシア側からは、同法の趣旨は、それまで不透明であった外資参入時の承認基準の明確化を図ることであり、決して外資参入の禁止を意図するものではないとの点が強調された。

これに対し、日本側からは、同法の拡大解釈による規制強化の可能性が排除できず、自由なビジネス活動が阻害されるおそれがあるとの懸念が表明され、制度運用の透明性確保を求めた。

こうした意見交換を踏まえ、両国経済界は日々のビジネス活動の課題に対する認識を共有し、良好なビジネス環境の整備に向けて一層の協力強化をめざすことで合意した。

【国際第一本部欧州・ロシア担当】
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