日本経団連事業サービスの社内広報センターは7月11日、大阪市内で「第9回社内広報フォーラム KANSAI 2008」(関西フォーラム)を関西圏の各経営者協会と共催で開催した。同大会には関西圏の社内広報担当者のほか、中国、九州、北陸、東海、関東からも参加があり、関係者を含めると166名が参加した。
初めに中井正郎・関西経営者協会理事・事務局次長が開会あいさつを行った後、フォーラムの実行委員会リーダーである松枝健夫氏(松下電器産業コーポレートコミュニケーション本部広報グループ社内広報総括部長)が基調報告を行った。冒頭、松枝氏は実行委員会で協議を重ねた結果、昨年に引き続きイノベーションが企業にとって重要なテーマであることで一致したことに触れ、イノベーションを起こすために社内広報担当者は何をなすべきかをさらに掘り下げる必要があるとの結論に至ったことから、フォーラムの総合テーマが「イノベーションを加速する社内広報へ―キーワードは“本物”」になったと報告した。
基調報告の中で松枝氏は、イノベーションの重要性を指摘した上で、企業が長期的な競争優位を維持するためには継続的にイノベーションを起こし、新たな価値を生み出していかなくてはならないことを訴えた。そして、「担当者として何をなすべきかについては、特別なことをするのではなく、現場に飛び込んで従業員の思いをくみ取り、自社が置かれた競争関係や課題を理解すること、情報の価値判断ができ、企画力、取材力、文章力を高めるなど、いわば“本物”の担当者になることから私たちのイノベーションが始まる」と述べ、担当者としての自覚を促した。さらに同氏は「自己保身に陥ることなく、正しいと思うことをまっすぐに語ることができ、しかもトップマネジメントの信頼が厚い人」こそ、“本物”の担当者であることを強調。今、企業において何が課題なのかを把握、深掘りし、問題の本質を探り、従業員全員で考えてもらう方向へ持っていけるような担当者が求められているとして、この大会では、「“本物”の企業、“本物”の従業員、そして“本物”の編集者とは何かを十分に掘り下げてほしい」と締めくくった。
松枝氏の基調報告後、分科会に分かれ研究、討議を行った。設定された分科会は、「基礎」「取材力」「文章力・表現力」「誌面レイアウト」「超企画力」「グローバル社内広報」「社内広報戦略」「進化するメディアと社内広報」「2007年度日本経団連推薦社内報入賞編集長(者)に聞く」の9コース。
例えば、「基礎」分科会では、コーディネーター作成のテキストをもとに発行目的、編集方針からスケジュール管理、取材の仕方、文章作成、企画の立て方など一連の編集のプロセスを学んだ後、校正や特集企画立案の実習、参加者の社内報相互批評などを行った。
一方、今回新規に設けられた「誌面レイアウト」分科会では、クリエイティブデザイナーの長峰八州男氏のレクチャーやスライド映写を通し、誌面構成・デザインのポイントを学ぶとともに、サムネイル(ラフスケッチ)を描く実習も織り交ぜながら全員で意見交換を行った。
これらの分科会に寄せられたアンケートには、「基礎から教えてもらい、今の自分に足りないものが何か、これから何をしていくべきかが見えてきた」「講師の話がとてもわかりやすかった」「想像以上にレイアウトの重要性を学ぶことができた。『読ませる』社内報をめざし、今以上に視覚に訴える紙面づくりを心がけたい」などの感想が寄せられ、好評であった。