日本経団連タイムス No.2917 (2008年8月14日)

新型インフルエンザ対策ガイドライン改定案に関する説明聴取

−関係省庁担当官を招き懇談会


日本経団連の国民生活委員会(岡部正彦委員長)と同委員会企画部会(高尾剛正部会長)は1日、東京・大手町の経団連会館で会合を開催し、内閣官房副長官補室の伊藤義典参事官ほか関係省庁担当官から、事業者・職場における新型インフルエンザ対策ガイドライン(改定案)について説明を聴取した。

伊藤参事官からは、「政府は、2007年3月に事業者・職場における新型インフルエンザ対策ガイドラインを公表したが、与党鳥由来新型インフルエンザ対策に関するプロジェクトチームの報告内容などを受け、このたび、同ガイドラインの改定案を取りまとめた。この中で、事業継続計画策定にあたって留意すべき点を示すとともに、新型インフルエンザ発生時の社会経済状況の想定についても一例を示した。ガイドラインを参考に、各社における新型インフルエンザの感染対策や事業継続計画の策定を進めてほしい。同ガイドライン改定案に続き、近く社会機能維持者の範囲についてより子細に示す予定であり、いずれもパブリックコメントに付し、今秋にも正式に取りまとめる方針である」との説明があった。

続いて、厚生労働省担当官から同ガイドライン改定案の説明が行われた。

この中で改定のポイントとして、事業者による新型インフルエンザ行動計画の立案、発動の具体的参考に供すべく、(1)新型インフルエンザの感染経路などその特性を子細に知りたいとの声を受け、基礎的知識の解説を充実させるとともに、その特性を踏まえた感染予防策(マスクなどの防護具の備蓄のあり方など)について考え方を示し、さらに職場における感染リスクを低下させるための具体的な方策(訪問スペース入り口での検温依頼など)を例示したこと(2)地震災害と比較しながら新型インフルエンザ発生時の事業継続計画策定にあたっての視点を示すとともに、継続すべき重要業務の選定や人員計画のあり方を示したこと――などを挙げた。

■ 意見交換

引き続き行われた意見交換の中では、参加者から、(1)このガイドラインに準拠した対応をしていれば、しかるべき安全配慮を行ったと理解してよいか(2)感染者に関する情報提供はどのように行われるのか(3)抗インフルエンザウイルス薬の企業備蓄は認められるのか(4)フェーズ4Aでプレパンデミックワクチン(注)接種開始とあるがこれでは遅いのではないか(5)新型インフルエンザ対策をめぐる自治体と国との協議は行われているのか――などの質問・意見が出された。

これに対し、(1)このガイドラインを満たしていれば一定の安全配慮を行ったとみなされると考えられる(2)感染者に関する情報提供のあり方は、リスクコミュニケーションの問題でもあり専門家と詰めているところであるが、都道府県が統一的に対応できるよう今後整理していく方針である(3)海外出張者への抗インフルエンザウイルス薬の予防的処方は可能であり、この点を明確にするための準備(ガイドラインあるいはQ&Aの策定)を検討している。企業だけが持てるようにするのは難しいと考えられるが、抗インフルエンザウイルス薬の取り扱い方針についても新型インフルエンザ専門家会議で検討し、近く方針を出す(4)プレパンデミックワクチンの有効性、安全性の確認を図りつつ、医療関係者や社会機能維持者へと順次接種対象を拡大する(5)都道府県と協議をしている。全国一律の体制を取れるよう、都道府県と市町村が実施すべき点についてガイドラインで示す予定である――などの回答があった。

(注)プレパンデミックワクチン=トリ‐トリ(まれにヒト)感染する鳥インフルエンザ(H5N1)ウイルスからつくられたワクチン
【経済第三本部国民生活担当】
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