日本経団連は17日、「2008年度日本経団連規制改革要望〜再び改革を前進させるために」を取りまとめ、公表した。
同要望は、政府が実施している「特区、地域再生、規制改革集中受付月間」(あじさい月間)に合わせて取りまとめられたものであり、総論にあたる提言部分と14分野152項目にわたる個別要望の2部構成になっている。
提言部分では、最近、規制改革の推進力が低下しており、日本経団連が政府に提出した要望の実現度合いも低下傾向にあることを指摘した上で、政府・与党が一体となり、規制改革を再び前進させるよう求めている。そして、改革を前進させるにあたり重要となる視点として、(1)行政の電子化を通じた国・地方自治体の業務改革の断行(2)民間開放の推進による民間の活動領域の拡大(3)民間の自発的な取り組みを評価・奨励することによる経済活力の増進(4)地方への権限移譲に伴う地方自治体による規制強化の排除――の4点を示すとともに、実際に規制改革の実現度合いを高めるための具体的な方策を提案している。
第一に、政府が規制改革要望を受け付ける「集中受付月間」を、現在の年2回から年1回にし、その代わりに、続く半年程度を「集中取組期間」とすることを提案している。「集中取組期間」中、規制所管府省には各要望に対し時間をかけて真摯に検討するよう求めているほか、規制改革会議と所管府省との折衝、協議の回数を増やすなどして、交渉プロセスの実効性を高めるべきとしている。第二に、政治の強いリーダーシップにより、規制改革を一層推進するよう求めている。規制改革の実現度合いを高めるためには、要望する民間側と規制所管府省の主張に大きく隔たりがある場合などに、政治が関与を強め両者の主張を聞きながら裁定を行うなど、リーダーシップを発揮することが望まれる。第三に、特定の地域で先行的、実験的に規制改革を実現し、後に全国展開するという構造改革特区制度を積極的に活用することで、長年実現しなかった困難な規制改革の突破口とするよう提言している。第四に、法律や法規命令、行政規則などの諸規制を一覧表にすることで、規制の「見える化」を進めるよう提案している。「規制改革会議」のウェブサイトなどで一覧表を公開すれば、国民、企業が規制に関する情報を一元的に得られるようになり、利便性が高まることが期待できる。第五に、規制を時代の要請に合ったものとするため、規制の事前評価(RIA)に行政コストなどの定量的な分析を加えることも提言している。
日本経団連では、19日に前田晃伸行政改革推進委員長が岸田文雄規制改革担当大臣や谷垣禎一自民党政調会長、中馬弘毅自民党行政改革推進本部長を訪問し、提言内容の実現を求めた。
なお、14分野152項目の個別要望については、月内に政府に提出し、実現を働きかけることとしている。