日本経団連タイムス No.2904 (2008年5月15日)

「生活者の“企業観”に関するアンケート」調査結果を発表

−企業倫理の重視と不測の事態への的確な対応で企業を評価/経済広報センター


日本経団連の関連組織である経済広報センター(御手洗冨士夫会長)は4月24日、「第11回生活者の“企業観”に関するアンケート」調査結果を発表した。同調査は社会が企業をどのように見ているかを調査することを目的に、1997年以来毎年実施しているもので、「企業に対する信頼度」や「信頼感の変化」のほか、商品・サービスの品質・安全性に問題があると感じたときにどのような行動を取るかについて調査を行っている。インターネットで回答可能な社会広聴会員を対象に1月に実施、2055名から回答を得た(有効回答率68.2%)。調査結果の概要は次のとおり。

■ 「商品・サービスの高い質を維持している」ことが「非常に重要である」が65%

企業を評価する際に、「商品・サービスの高い質を維持している」ことが「非常に重要である」は65%で、昨年度同様、他の項目を大きく引き離している。企業は本業に徹し、まず商品・サービスの質を充実させることが強く求められている。次いで「企業倫理が確立され、不祥事が起きていない」「不測の事態が発生した際に、的確な情報発信をしている」ことが「非常に重要」がそれぞれ57%、53%と多い。企業倫理の重視と不測の事態への的確な対応が、企業の評価につながっている。

■ 「信頼できる」が26%

生活者の企業活動に対する信頼度は「信頼できる」が26%、「信頼できない」が34%となっている。一方、この1年間での企業に対する信頼度は「高くなった」が4%、「特に変化していない」が50%で、「低くなった」は46%と昨年度より32ポイント高く、企業に対する信頼度が大きく低下している。その理由には、「食の安全問題」や「偽装表示問題」などが挙げられている。

■ 「商品・サービスの高い質を維持する」「企業倫理を確立し、不祥事を起こさない」が58%

企業が社会から信頼を勝ち得るために重要な事項は、「商品・サービスの高い質を維持する」「企業倫理を確立し、不祥事を起こさない」が58%で最も多い。企業評価の基準と同様、本業の活動とともに企業倫理の確立が強く望まれている。また、「省資源・省エネのほか地球規模を含めた環境問題に積極的に取り組む」が46%で続き、質、企業倫理、環境といった生活者にわかりやすい項目が他を大きく引き離しているほか、「不測の事態が発生した際に的確な情報発信をする」も多く、企業にとって危機的な事態に、どう対応するかを生活者は注目している。

■ 「不祥事が発生した時点から、企業自身の問題として責任ある行動が取れているか」「不祥事を隠蔽せず、きちんと説明ができているか」が60%

企業不祥事にかかわる記者会見で重要なことは、「不祥事が発生(発覚)した時点から、企業自身の問題として責任ある行動が取れているか」「不祥事を隠蔽せず、きちんと説明ができているか」が60%で最も多い。原因究明より企業や経営者の姿勢を重視する傾向がある。

■ 「経営者の姿勢や経営方針に問題がある」が69%

企業不祥事の原因については、「経営者の姿勢(倫理観)や経営方針に問題がある」が69%と最も多く、「企業の一部に古い制度や慣習が残っていて、社会全体の変化に追いついていない」が56%となっている。環境変化への対応が不十分と見ている。また、「従業員の倫理意識が向上し、通報などが活発になってきた」(33%)は昨年度より11ポイント高く、従業員の意識向上で内部通報が増えたことを不祥事表面化の要因ととらえている。

■ 「経営者が自ら先頭に立って倫理観の醸成、法令順守を徹底する」が68%

企業不祥事を防止するために取り組むべき具体策としては、「経営者が自ら先頭に立って倫理観の醸成、法令順守を徹底する」が68%と昨年度同様最も多い。不祥事防止に経営者が果たす役割が大きいと見る生活者が増えている。また、「商慣習や安全基準など古い制度を見直す」も39%と昨年度に比べ高い。また、社内コミュニケーションや不祥事防止のための組織づくりなどの企業組織の変革案は低下しており、経営者の強いリーダーシップによるトップを含めた意識改革と、業界全体の商慣習や制度の見直しが必要と考えている。

同調査の詳細は、経済広報センター国内広報部(電話03‐3201‐1412)まで。

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